地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
<< June 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | permalink | - | -
<< 大泉洋:本日のスープカレー | main | 有吉佐和子:針女 >>

有吉佐和子:鬼怒川

鬼怒川
有吉 佐和子


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


夢の中で生き始めた男達と
ただ結城を紡ぎ続ける女達。
有吉さんお得意の、女性の一代記。

土地で一番の結城紬を織っていたチヨのもとに
結婚の話がやってきました。
相手は、日露戦争から生きて帰り、勇者と村で称えられている男。
生家よりもは裕福なその家に嫁入りするのに
実家の両親は愚痴ばかり。
変わって、婚家の両親はチヨを可愛がってくれ、
幸せな結婚生活が始まったと思っていた。
しかし、その男は、戦争が終わってからすっかり「ぶらぶら病」と
なっていたのでした。
夜中にうなされて絶叫し、昼間は一日中ぼーっと暮らしている。
そんなある日、旦那のもとに彼の戦友だと称する
片足の男がやってきて、数日滞在したのち、
スペイン風邪によりあっけなく死にます。
彼がもってきたスペイン風邪により、村のあちこちで死人が出、
チヨの両親も死に、チヨも倒れます。
奇跡的に生き返ったチヨが見たものは生き生きとしている夫。
夫は、戦友が持ってきていた「埋蔵金」話に心奪われ…。

チヨが生活のため、機を織りつづけている間に
チヨの夫、第二次世界大戦から帰ってきた息子、
そして大学紛争に溺れた孫。
三人の男が次々と埋蔵金話に食いついていき、
そして埋蔵金を掘る作業中に死んでいく。
しかし、それまではすっかり無気力な人間だったのが
埋蔵金話のためなら、生気がよみがえる。
まわりの人間は、戦争から帰ってきただけでも…と
遠目に見守るしかできなかった。

そして戦争が変えてしまったもの。

チヨたちが住む、山奥の村では空襲もなく
半農状態だったから食べ物にもそこまで困らなかったから
彼女達が身近に戦争を感じることはほとんどなかった。
自分達の夫や息子が、戦争にとられたことだけ。
でも戦況も全くわからない。
だから、夫の戦友の片足がなかったことがチヨには不気味なものに思えた。
そして、息子がとられた時には
戦死公報が入ってきても、チヨは頑として受け付けなかった。
迷信を信じて、魚を一切とらなかった村の鯉が
物資欠乏の最中、一匹一匹と消えていく。

年をとったチヨは結城紬の人間国宝になる。
テレビの人間は、チヨを伝統工芸の歴史の生き証人として納めようと
するけれども、
レンズに写ったチヨの顔は、一人の女の歴史を刻んでいた。
その顔はまるで鬼のようだった。

老いたチヨは一日中テレビを見て、うつらうつらする日々。

最初が日露戦争の頃。
そして最後はカラーテレビが出た頃。
時代・風俗がどんどんと変わっていく。
その中でどんどんと機を織りながら、生きてきたチヨの人生。
最初は小さくてべっぴんさんで、おとなしかったチヨが
歳をとるにつれて頑固になったり、大声になっていったり
人も一生の間に変わっていく。
壮絶だ、とは思うけれども
ひょっとしたらちょっと前まで、
こういう女性はたくさんいたのかもしれない。



ぶろぐらんきんぐー
ちょっと落ち気味…ぽちっとよろしくv
有吉佐和子 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

- | permalink | - | -

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://utagiku.jugem.cc/trackback/145
この記事に対するトラックバック
BlogPeople
■古本市場■