地味な女子の読書とか映画とか。

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渡辺淳一:君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟(コクリコ)―与謝野鉄幹・晶子夫妻の生涯

君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟(コクリコ)―与謝野鉄幹・晶子夫妻の生涯〈上〉
渡辺 淳一

文芸春秋


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読む前まで、「コクリコ」をカタクリの花のことだと思ってましたよ(笑)
おいしいよね。カタクリの花。生でも食べられる。
・・・。ひなげし、だそうです。コクリコ。
で、こないだ田辺版の与謝野伝を読んだときに
かっこーさんから教えて頂いた本。
今まで、偏りつつも評伝小説を読んできて思ったのは、
一人以上の作家さんが書いた主人公ってのがそんなにいないんだよね。
もちろん戦国時代とか、幕末とかにはそういう人はたくさんいるけれど、
明治以降では、そんなにないと思うの。
いや、あったら教えてね?

酒見さんが「陋巷に在り」の最終刊で
たくさんの作家が題材にしたい(した)有名人というのはいるけれども
それぞれの作家の解釈が混じって、本当にそれがその人なのかというのは
どんどんわからなくなっていく、みたいなことを書いてた。
10人の作家が織田信長をそれぞれ書いたら、10通りの織田信長が存在すると。
それはそれぞれ間違っちゃあいないんだろうけどね。
ドラマの「大奥」にしても、あれは実在の人物を使ってはいるけれど
フィクションだもの。(多分)
だけど、その解釈しか知らなかったらそれだけの切り口しかもたない。
まぁ、わたしは本好きの暇人なので
10通りあるんだったら、10通り全部読んじゃえばいいじゃん、
などと思ってしまいがちですね。

と、いうわけで飛びついたこの本。

内容は田辺版とかぶらないんじゃないかな、と思います。
ま、もちろん鉄幹と晶子の生い立ち〜出会い〜押しかけ女房へ・・・
そんな部分は同じなんだけど、
筆致が違うせいか、あまり飽きなかった。
田辺版では、鉄幹がパリに行くまでのところで話が終わっていたのに比べて
渡辺版では、そこが真中くらいで、二人の死まで全部おさめている。
だから逆に、全体的に簡潔かんじがする。
田辺版は、鉄幹のキャラがやたら濃すぎたからねぇ。
やってることはかわらないんだけど。
ひとつひとつのエピソードを田辺版では深く掘りさげてるからかなぁ。

渡辺版、と聞いたときに
「えー?あの迷惑な鉄幹を賛美してんじゃないでしょーね?」と思ったんだけど
同じ男だからか、逆にもっと手厳しかったりする。
そのかわり、鉄幹がだんだん売れなくなって、
逆に晶子が売れていったときの鉄幹の心の動きがとてもよくわかる。
最後の最後まで二人を書いたことで、
なぜ晶子と鉄幹が別れなかったのか、
二人の間にどんな感情の流れがあったのか、そういうことがわかって
しみじみと夫婦だなぁ・・・と思った。
最初の頃の鉄幹や晶子のそれぞれの暴走がなければ
最後のこの静寂はないのか、と思ったりね。
「私は3度、同じ人(鉄幹)に恋をしました。1回目が出あったとき。
 2回目は彼がパリに旅立ったとき、そして3回目は彼が死んだあと」
というのが、すごくいいなぁと思えた。
最後まで読むと、
あの鉄幹の「人を恋ふる歌」なんかが胸にきゅんときたり(笑)

細かいエピソードは田辺版と相違する部分もある。
ひとつだけ渡辺版で欲しかったなぁと思うのが
田辺版にはこれでもか、というくらいにあった
晶子と登美子の友情シーン。
渡辺版では、「親友だ」といくら書いても、
仲が悪そうにしか思えなかったのよ。

まぁその分、青鞜のメンバーのやりとりや
明星など、当時の文壇の人々が
興味深い個所が多くて、面白かったです。
森鴎外があそこまで鉄幹に良くしてたりとか、
いやぁおもしろいわ。
ほんとに色んな人に嫌われつつも、
色んな人からの援助があって初めて成り立つ、そんな夫婦(笑)


君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟(コクリコ)〈下〉与謝野鉄幹・晶子夫妻の生涯
渡辺 淳一

文芸春秋


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