地味な女子の読書とか映画とか。

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渡辺淳一:花埋み

花埋み
渡辺 淳一

集英社

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なんやの、淳一。
あんた、めっちゃおもろいやん。
失楽園とか老いらくの恋書いてる場合ちゃうやろー。
・・・と、三作立て続けに渡辺淳一の本を読んでそう思いましたよ。
全部評伝だから余計にそう思ったのかもしれないけど。
一人の作家の普通の小説を立て続けに読むと
おもしろいけど、だんだん鼻につき始める。
それは、登場人物にあまり変化がなかったり
話の展開が決まりきったりしてきたときに思うんだけどね。
特に主人公が恋をする相手なんていうのは、もろに好みが投影されるし。
そういうのが評伝にはない。
もしあったとしても、それは「事実」だという裏打ちがあるからだろうね。

ま、そんなことはさておいて。この本。
日本初の女医(国が資格を与えたという意味で)の物語。

淋病って怖いんだねぇ。
主人公の吟子は16歳で嫁に行くけど
そこで、結婚相手から淋病をうつされる。
今はどうか知らないけど、当時は治療法もない時代。
子供も産めなくなり、完治しない病弱にされた体で実家に舞い戻る。
そこで、結婚という意味、田舎の世間体というものに
心を掻き乱されながらも、
「医者になる」という決意をする。
そのきっかけが、はるばる東京まで医者にかかりに行った時。
今と違い、女性に慎み(?)があった頃、
たくさんの男性の医者に股をこじあけられた屈辱の思いだった。
それが彼女の原動力となった。
「女の医者さえいれば・・・!」
当時、女性の医者なんて産婆以外にはいなかった。
男尊女卑が当たり前だった時代。
女性が勉強をする、ということ自体が基地外(自粛して2ch用語を・・)と
思われるくらいの世の中。
もちろん、学校も通えないし、医者になる資格すら女性には与えられていなかった。

「とりあえず勉強しに・・」と医者になる夢すら両親に打ち明けられないまま
彼女は東京に飛び出す。
そこでまず漢学とかを勉強しつつ、
民間の医学校に潜り込む隙をうかがう。
なんとか医学校に潜り込んだ彼女を待ってたのが
恐ろしいほどの嫌がらせだった。
つか、今からみると、この男達、ほんとにガキ。
いい大人とも思われない嫌がらせの数々。
挙句の果てには強姦までしようとする。
患者も彼女にだけは患部を見せようともしない。
時は明治の始め。
青鞜をはじめとするウーマンリヴにはまだ何十年も待たなければいけなかった。

医者の試験を受けさせろと、政府に単身で乗り込んだり
この時期の吟子も動きは、もう呆気にとられるというか
もう誰にも真似できないんじゃないかと思う。

なんとか医者になった吟子のもとには
物珍しさもあるのか、たくさんの患者がおしかけるようになった。
婦人科の看板をかかげた吟子に助けを求める女性達は
無知であり、お金もないそんな女性達。
そこに吟子はものすごい憤りを覚える。
花柳病にかかった女性達は、絶対安静をいいつけても
男が求めれば交渉してしまう。
治療の意味もない。
そのままの、清潔ではない手で、子供の目をさわり
子供は失明しそうになる。
ここで、吟子は狂ったように怒るのだが
そんな吟子に対して、女性達は
「そんなこと言ったってねぇ・・?先生は女の喜びしらんのんちゃう?」
というような対応しか返さなかったりする。
これは・・・どうなんだろう。
吟子が、どこまで病気について説明できたのか
女性がそれをどこまで理解できていたのか、
そして通院できない経済状況、交渉を拒めない女の立場。

とにかくそういうことで無力感を感じた吟子は
キリスト教に希望の光を見出します。

ということで後は、読んで下さいませ。
最後はさー、「うわーーーもったいねえ!」と思いました。
あの男が・・・あああ。

とにかく、吟子の働きがなければ
女医誕生が多分、何十年も遅かっただろうなーと思う。
どうしても文学方面の華やかな女性の動きに偏りがちだったけど
それよりも何十年も前にこういう女性がいたことが驚きだ。


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この記事に対するコメント

気に入ってもらえて嬉しい。お進めした甲斐がありました。ほんとに当時の世相がうかがわれるし、作者の男性としての考えもすけてみえたり(笑)。
与謝野夫婦もよかったでしょぉ。あれはやはり、老後まで描いたのがいい、と思います。で、登美子との友情問題はおそらく作者が女同士の友情を信じていないのだと思います。
あ、淋病のこわさ、というと確か金子みすゞもそうだったような。昔は衛生観念もないし、病気に対する知識も薄かったので多かったようですね・・・・。
かっこー | 2004/12/27 7:56 AM
おお、ようやくJUGEMが軽くなった…。

かっこーさん

やっぱり女性から見たら
「いやぁ、それだけじゃあないだろう」みたいな部分はありますけどねぇ。
やっぱり一応「事実」だから、そこは(笑)
妙に都合のいい女性が出てこないだけマシでございます。

与謝野晶子と登美子の友情は、
やっぱり女の田辺聖子さんの方が
みっちりしてますね。
現代だと確かに理解しにくいけど
より当時に近い(笑)田辺さんが書くと納得というか。

金子みすずも淋病だったんですか。
知識が薄いというか、
明治以降でそういう話があると
妙に納得いかなかったりするんだけど(笑)
多分、言葉を尽くして説明しても
患者側に理解する気がなかったりするんだろうな。
「子供できなくてラッキーじゃん」とかさ・・。
この時代にエイズがあったら
日本なんて絶滅してるよー

うたぎく | 2004/12/27 7:10 PM
TBありがとうございます!

同じ女という性を持つ身として、彼女の生き様は本当に私たちに力を与えてくれますよね!尊敬の念が絶えません。

ただ、私も老年の結婚後の彼女の生き様には未だに納得がいきませんが・・・(^^;
オススメ☆カフェ | 2005/10/31 12:29 AM
こんばんわ。
こちらこそTBありがとうございました。

ねぇ…最後納得いかないんだよねぇ。
まぁ事実なんだろうけどさ。
うたぎく | 2005/10/31 11:07 PM
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