地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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渡辺淳一:光と影

光と影
渡辺 淳一

文芸春秋 1975-01

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素晴らしい!淳ちゃん!さすが直木賞受賞作!
・・・そして今は・・・とふとしつこく考えてみる(笑)。
人生にははからずも「勝ち」や「負け」が存在する。
それは当人の努力や才能ももちろんだけど
そこには運という、自分の力だけではどうしようもないものが
左右してしまうことがある。

日露戦争で、腕に同じようなケガをした
小武敬介と寺内正毅。
二人とも、腕の切断を決意していた。
しかし、ふとした理由で小武は切断。寺内は切断しなかった。
そこから二人の運命は別の方向へと進みはじめ、
出世街道を突き進む寺内。
傷痍軍人として面白くもない事務の仕事を延々と続ける小武。
小武にとって、寺内という存在は
嫉妬や悔しさといった感情をぎゅうぎゅうに押し込んだ存在となっていく。

あああ、わかるわぁ・・・。
小武が傷ついた小さいプライド(でも生きていくのに必要なプライド)を
抱えて、色んなものを見ないように生きていくところ。
寺内はそんな小武を不憫に思ったのか、
昔のように友人として遇しようとするのに
それを撥ね付ける小武。
そりゃあ、そうだよ。そうしちゃうもん。
寺内は親切でしてんだろうけど、そこは小武の惨めさを刺激するしかない。
かといって寺内がどうしたらいいかなんて答えももちろんないんだけど。

そうやって、地味ながらも突っ張って生きてきた小武が
ある時、なぜ、自分の腕を切断し寺内の腕は切断しなかったか。
その理由を知ってしまう。
それはあまりにも小さな偶然の話で
そんなことで自分の一生は・・・と
小武は狂ってしまう。

号 泣

他にも密度の濃い短編が入っているのだけど
最後に入っている、梅毒に感染した若い女の子の話が怖くて良い。
昔不倫した男から梅毒を感染された娘は、
その後、次々と男と寝て、梅毒を伝染させていく。
声をかけてくる男や、結婚した昔の恋人、知人の恋人などと寝、
相手の感染の兆候(身体にうっすらと出る薔薇色のあざ)を見て
一人でほくそえむ。
相手は、誰一人、感染には気づかない。
このまま、彼らの恋人、そしてそれがまた別の人間と・・・と
際限なく感染の輪が広がっていく兆候がわかる。
もちろんそうしたことで、彼らの浮気も発覚するのだろう。
過去の不倫相手に対する復讐なのか
男全般に対する復讐なのか
それとも、わからないまま黙って伝染していた恐怖からなのか
ただ、相手の身体の薔薇色のあざだけを確認しつづける。

いやぁ〜淳ちゃん。
昔は、いいお話描いてたんだね。


ランキングご協力ありがとう★
もう一声!お願いしますぅ。
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