地味な女子の読書とか映画とか。

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司馬遼太郎:世に棲む日日

世に棲む日日〈1〉
司馬 遼太郎

文芸春秋 2003-03



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おもしろきこともない世をおもしろく
幕末の長州。
後に薩摩と共に明治維新の核となった藩。
でもそこにたどり着くまでには
勝者になったり敗者になったり、紆余曲折があった。

その一つの理由になったのが
松下村塾という存在。
そこの2代目の吉田松陰
その教え子だった高杉晋作の物語。

松下村塾ってさー、小学校の修学旅行で行ったんだよね。
行ったけど、その当時、そこまで歴史なんて知らないからさ。
何か古ぼけた建物見学したな、とか
そういうイメージしかなかったんだけど。
豚に真珠というか馬の耳に念仏というか。
もったいねえ。
つーか、修学旅行なんて好きな男子の写真隠し撮り&
友人から頼まれた隠し撮りしたことしか覚えてないね!
(その頃からパー子)

まぁでも、だから「松下村塾」っていうのが
記憶に残ってはいるわけだが。笑。

2巻の前半までは主に吉田松陰の物語。
その後が高杉晋作の物語。

つか、この二人の話以前に
この頃の長州という藩の性格がおもしろい。
江戸時代の殿様とか政府というのは
事なかれ主義だったり、仕事がのろいっていう
イメージしかなかったけど
この藩はそうじゃなかった。
人材を登用することにすぐれていて事務処理能力は
他藩に比べて群を抜いていたし
若者がやんちゃなことをしでかしても
笑って許して、尻拭いをする、そんな大人が多かった。

だから、尊王攘夷の思想が湧き上がって
若者が走り回り始めても、
すぐに死刑にしたり、そういうことはなかったわけだ。

で、そこでのびのびと自分の思想を作り上げていった松陰。
だからと言っちゃあなんだけども
長州藩以外もそうだと思い込んでいた。
この辺、義経とかぶるんだけど。
もう「話したら、みんなわかってくれる」って思ってんだよねぇ。
友達との旅行の約束守るためだけに脱藩したりさ。
だからやがて彼の思想が危険思想とみなされて殺されてしまうわけだけど。

ただ思想家だった松陰は
教育者としても素晴らしかった。
松下村塾に集まってくる人々は貴賎の差なく受け入れたし
彼らの美点を見つけ出すのがうまかった。
そして「こいつは!」と思う人間に対しては
それ相応の教育をした。
その中で気に入っていたのが
久坂玄瑞と、高杉晋作。

久坂玄瑞は、その有り余る才能をもちながらも
当時彼らが目指していた「狂」の中、京都で戦死してしまう。
そして高杉晋作。

「動けば雷電の如く発すれば風雨の如し」と称された
高杉晋作。
彼は、戦の天才であり、司馬作品どおり先を見る目があった。
世が世なら、上手かった漢詩で身をたてていたんだろうけど
攘夷という思想が湧き上がり始めた中に大人になり
イギリス公邸を焼き討ちし、
かと言って上海に行って外国の威容を見たあとには
素直に外国の力を認める。
かといって、開国主義というわけではなく
とにかく外国とまともに渡り合える藩にするために
砲台を作り、長州藩だけで外国と戦争を始める。
この藩対外国の戦争、ということは
徳川家時代の存在を揺るがすことになる。
外国にとっては藩と戦争するのか、日本と戦争するのか
その辺がややこしいから。
藩が(日本の代表として)
表にたってしまうと、徳川家の存在意義が薄くなっちゃうし。

あるときは、加熱した長州の若者のリーダーとなり
あるときはそんな彼らに命を狙われる。
そしてあるときは投獄されるも、
すぐに必要になって駆り出される。
晋作の動きによって、長州の運命も変わっていく。
長州藩の中の、攘夷派対佐幕派の戦争。
イギリスや四カ国艦隊との戦争。
そして幕府との戦争。
この中で晋作はめざましい働きをみせる。

そこに彼は彼が創設した奇兵隊を投入する。
奇兵隊というのは、百姓も町民も身分関係なしに入れる軍隊。
戦争は武士のもの。特権だったものが
いっきに庶民も参加できるものになった。
これが江戸時代300年続いた身分制度を揺るがす存在にもなった。
でも晋作は、この奇兵隊も含め、自分の作ったものや
成果には頓着せず、すぐに放り出してしまうんだけども。
だけど藩も、そして停戦交渉や貿易交渉にきた外国人達も
晋作を頼りにし続けた。

そして晋作は「長州藩を独立国家にしよう」とした。
この辺は河合継之助とかぶる。
先を見ていた人々の頭に必ず出てくる思想のよう。
そして同時に、日本を変えるためには
長州という国が滅んでも構わないと
泣きたくなるような決意も抱えていた。

高杉晋作は27歳で結核のために死んでしまう。
27!もうすぐわたしもそんな年に!
とにかくそんな若さで、長州藩の運命をころころと動かし、
自分は成果や名誉などに頓着せず
(というか、彼自身が部屋住みの若書生という身分だったからもあるけど)
さっさと次の目標を見つけて、
笑いながら(晋作は「困った」という言葉を口にしなかったらしい)
走り回っていた晋作。
上の「おもしろき〜」は彼の辞世の句だったんだよねぇ。
きゃあああん(はあと)
素敵。

そして、そんな晋作にくっついて命をかけて走り回っていた
伊藤俊輔(博文)井上聞多(馨←杉田かおるの旦那の祖先。笑)。
そして奇兵隊を任されていた山県狂介(有朋)。
暴発する彼らの調整役となった桂小五郎(木戸孝允)
もう、教科書に載ってた名前が生き生きと動き回る。
そして彼らの中に息づく、松陰の残された思い。

特に伊藤俊輔と井上聞多の動きが異常に機敏でおもしろい。
イギリスに密航して、半年で
イギリスとの戦争を知ってとんぼ帰りしてくるし。
そして、彼らをあったかい目で見守りながら
いざという時には命をかけて守ろうとした
藩の役人の周布政之助
晋作のために家財一切を投げ出した商家の旦那。
逃亡する晋作を命かけてかくまった博徒の親分。

こーれはドラマにしたらすっごいおもしろいだろうなぁ。


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この記事に対するコメント

高杉晋作って「三千世界の鳥を殺し,主と朝寝がしてみたい。」のひとですよねえ。
子どもの頃読んだ本にそんなくだりがあってガキながらもどきどきした記憶が。
そしてうたぎくさんのレビュー読むたびに司馬熱がめらめらと。
ど,どうしましょう。
aggie | 2005/03/25 9:10 AM
◆aggieちゃん

よく覚えてるな、それ・・・。

もうがっつり司馬さんいきますよう。
うたぎく | 2005/03/25 12:51 PM
いや,あの,「三千世界の鳥(とり)を殺し」とずっと読んでいて確かに朝はにわとりうるさいもんねーって思ったのですが。鳥じゃなくって烏(カラス)だって云うじゃないですか。
ハタチ過ぎてそのこと知りまして,会話の最中に不気味に赤面。
以来忘れられなくなったというオチがあるのです。。。
カラスが鳴くのは夕方だと思うんだけどなあ。
司馬本,次図書館行ったら手当たり次第一冊ずつ(変な日本語)手ぇ出します。
わくわくしますな。
aggie | 2005/03/25 9:29 PM
ダメだ。また挫折しそうだ(-_-;)

頑張ってブログを更新しているのに、順位が下がる一方なんだ。

不思議なことに、たいした内容でなく(と思われる)、更新もしていないブログが、上位に進出したりしている。

どうもランキングそのものに疑いをもってしまう。

それともヲイラの文章が下手クソなだけか?
T-Takeda | 2005/03/27 7:12 PM
あああ。(言葉にならない)

◆aggieちゃん

朝一の繁華街にはゴミをあさるカラスがいっぱいいますよ?(笑
おー、図書館。図書館で借りるのがいいよ。
わたしのも父親文庫だったから良かったものの・・。しかも場所とるし…ブツブツ

◆takedaさん

あれ、結構疑問だよねぇ。
組織票だったりするのかな。
トラップみたいにしてる人も多いけどね。
日付によってがくっと落ちることもあるし。
ま、上を目指したらきりがないものよのう・・ふふ。

うたぎく | 2005/03/28 11:07 PM
この本と「花神」を併せて大河ドラマになってるのよ!それが「花神」よ!高杉晋作役は中村雅俊。松陰は篠田三郎。おもしろかったのよ。
本を読む前にドラマを見たけど配役がぴったりな感じで・・・。それ以来
「いよう、征夷大将軍!」は中村雅俊の声です。
なので次は「花神」を読んでください(笑)
かっこー | 2005/03/31 10:40 PM
◆かっこーさん。

いいねぇいいねぇ。
「いよう、征夷大将軍!」って叫べる晋作のあのセンス。
それにしても、昔のドラマというのは
何故こんなに心をくすぐるのか…。
義経なんてさっぱり見ていないというのに…。

うたぎく | 2005/04/01 11:47 PM
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『世に棲む日日』 (全4卷) 司馬遼太郎 | 仙丈亭日乘 | 2005/05/08 11:56 PM
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