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司馬遼太郎:人斬り以蔵

4101152039人斬り以蔵
司馬 遼太郎

新潮社 1969-12

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人それぞれの誇り。名こそ誇り?

人斬り以蔵というのは、幕末の小説読むと時々名前を目にする。
本名は岡田以蔵。
土佐出身の坂本竜馬や武市半平太と同じ時代に生きた、暗殺者。
貧乏で、最下層な武士の家に生まれて、
剣も習えなかったから独自で修行をして。
やがてささやかな縁を頼って、武市の元に弟子入りをした。
だけど、本来持つ暗さというかそういう雰囲気によって
嫌われてもいたし、議論中心となりがちな志士の間で
学のない以蔵は、仲間はずれ。
なんとか仲間に入れてもらおうと頑張っても空回り。
やがて、認めてもらおうと思う気持ちは暗殺の方向へ向き始める。
仲間達の議論の中で
「あいつはあかん」という名前が出れば、次の日にその人物は死体となる。
武市は以蔵の取り扱いに困リ始めた。
彼にとって、以蔵は必要であるときだけ彼のために動いてくれたらいい
そんな人物でしかなかった。
だから、以蔵が黙って暗殺をしだすと武市にとっては
気分がよくない。
やがて土佐藩の内部問題で武市たちは土佐へ召還。
主を無くした以蔵は、京都で彷徨い始める。
とはいえ暗殺者として名前を知られてしまっている以上、
隠れるように生きていくしかなかった。
そして、ついに武市達は捕まり、彼らの志士活動の内容を知る
以蔵のもとにも追っ手がやってくる。

武市達が思う武士としての誇りと
以蔵の最後、振り絞るようにして示した、人間としての誇り。
二つの誇りは決して通じ合うことはないんだろう。
それは立場や学問や人生の違いだ。
同じ時間同じ場所で生きてきたとお互い思っていても。

これは短編集で、全部で8編の短編が入ってる。
中でも
「売ろう物語」や「いいふらし団右衛門」は
男として、歴史の中に自分の名を残したい。
その為に、あらゆる場所で自分の名前を人々の記憶に
留めようと奮闘する人々の話。
マスコミというものが無かった時代、人々の噂話や記憶が
一番の情報伝達手段。
その中で、
「人気とはそうしたものだ。誰かが、陰の犠牲になっている」
という文章が胸を衝く。

「美濃浪人」は、志士を目指し京都にやってきた医者の後継ぎが
特にすぐれた志士歴もないままに、歴史に名前を残す。
それは、たまたま井上聞多の命の危機に2度も現われ、
その命を救った、そういう理由で。
残念ながらその2度とも井上聞多は意識がなくて
彼の姿は聞多の記憶には残らないまま、歴史から消えていく。
志士としてではなく、維新の功臣の命を2度救ったという功績で
名が残った彼は、果たしてどんな気持ちだったのかな。

そして、「花神」の大村益次郎の物語をぎゅっと濃縮したような
「鬼謀の人」などなど。

名前というものが、
今よりもずーっとずっと大きな意味を持っていた時代。
そのために風雲の中に一人で飛び出し消えていった人々の物語は
痛快でもあるけれども
名を残した人々の裏で散っていった多くの名もなき人々への
鎮魂歌なのかもしれないなぁ。


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