地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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山崎豊子:ぼんち

4101104026ぼんち
山崎 豊子

新潮社 1961-01

おすすめ平均

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放蕩を重ねても、帳尻のあった遊び方をするのが大阪の”ぼんち”。
古い暖簾を誇る足袋問屋の一人息子喜久治は
「ぼんぼんになったらあかん、ぼんちになりや。男に騙されても女に騙されてはあかん」
という死際の父の言葉を金科玉条として生きようと決意する。
喜久治の人生修行を中心に、彼をめぐる5人の女達、船場商家の厳しい家族制度
特殊な風習を執拗なまでの情熱をこめて描く長編。



「女の道で苦労して、何かものを人に考えさせるような人間にならんとあかん」
船場の女系家族(笑)に生まれた一人息子の喜久治。
家内の中心は、祖母と母親で、そこには彼の口の挟む余地はなかった。
嫁に来た娘も、祖母と母親が結託して追い出してしまう。
そして喜久治はそのしがらみから離れようとするように
外の女を渡り歩くようになる…。

これ、「色徳」とかなり似てるんだよねぇ。
「色徳」は鮫島六右衛門と彼を彩った女の話。
そこの中心となるのは女とのやりとりが多かったんだけど
こっちは「船場の商家」という山崎さんお得意の話のため
商売の話と色の話が半々くらいかな。

この商売の話もやっぱり面白い。
当時の商いの広報手段に花街を使ったりする。
新商品発売の前日に囲ってる芸者と何人かを集めて
新しい足袋を配る。
「良かったら、明日朝一でうちの店の前に並んでやー。
 仲間にも宣伝してやー」と。
商品の優劣はさておき、たくさんお金を落とす、素敵な遊び人の
頼みであるから、
発売日の朝には、きらびやかに着飾った女性達が店の前に並ぶ。
ものすごい宣伝効果だ。

喜久治をめぐる女性もおもしろい。
でっかい宝石のついた指輪を10本の指では足りず、足の指にまでつける
ユーモア溢れた芸者のぽん太。
料亭の養女で、妙につましく喜久治の財布の心配までしてしまう幾代。
幼くて生真面目で、どこに行くにも「芸妓の教科書」を離さない小りん。
カフェの女給で競馬にうつつを抜かす比沙子。
そして、料亭のおかみでやり手だが酒ばっかり飲んでいるお福。
このお福がいいのよねー。
あのお酒をするすると飲んでいるシーンなんて
ゆったりとした色気で…うっとり。
ぽん太や小りんもかわいい。

美人局のつる八が言った
「女の道で苦労して、何かものを人に考えさせるような人間にならんとあかん」
という言葉が喜久治の信条となる。
お正月は一日に5人の女に会いに行かなくてはならないし、
戦争が始まって空襲があったときには、その夜のうちに
全員の安否を確かめようとする。
こりゃ大変だ。
イスラムの一夫多妻制はすべての女性に
平等に愛と金を配る甲斐性がなきゃ駄目って
良く聞くけどさ。
同じ名前の菊治に教えてあげたいよね。笑 
あっちの菊治は暴走とどまるところを知らないけど。

今まで、芸妓さん遊びとかまったく知らなくて
こないだちーままさんに「初めてのお座敷遊び」に呼んで頂きまして。
知らなかったからさぁ、なーんでそんな高い金払って…と思ってたけど
あれは男にしたら楽しいだろうなぁと思う。
もちろん、一緒にお酒を飲んでおしゃべりするんだったら
ホステスさんでもいいんだろうけどさ。
かわいい舞妓ちゃんたちから「お兄さん」ってちょっと舌足らずの声で
呼ばれるだけで腰砕けでしょう。
そしてお座敷遊びなんてのも、あの単純さだから面白いんだろね。
で、おじちゃんたちが相好を崩して舞妓ちゃんたちと
子供のように遊んでるの。
いやぁ、あれを見てるだけでおもろいわ。(見るとこ違いすぎ)

まぁ今は売春禁止法もあるので(笑)、昔どおりの花街ではないけど。
そんなかわいい舞妓ちゃんたちを手に入れて、
豪華な衣装で着飾らせて、イベント時には更に張り込んで…
という男の喜びというのをちょっとだけだけど理解できた。
ちーままさん、超感謝でございます。

十日戎(関西のえびすさん系神社で1月10日にある商売繁盛の祭り。
大阪の今宮神社が大元。京都だと建仁寺の近くの戎神社。
西宮にもあったかな)
で、芸妓が乗り回す宝恵籠の華やかさ。
船場からわざわざ川船に乗って見に行く観劇。
船場内で火事が起きた際の一番乗り競争
船場と花街の境目の掟。
もう今はなくなってしまっているけれど、参加できなくても
見ている庶民にとってのエンターテイメントでもあったかもしれない。

そして外せない、祖母と母親のすさまじいまでの家に対する執念。
古くからの船場の掟や、家事に対するさまざまな決まり。
大根の切り方にも家のしきたりがあるんです!なんて言われたら
えーん…と思っちゃうよなぁ。
しかも教えてくれるわけでもなく。笑
戦争で燃えてしまう瞬間はまさに戦火と執念のぶつかり合いのようだ。

離縁した嫁も含めたら6人の女にもまれて
果たして喜久治が思ったような男になって帳尻があったかは
最後までわからないけれど
どんどん男ぶりがあがっていくことは確かだ。
戦争を境目にして、彼らの境遇ががらりと変わっていくのが
ちょっとさみしいけどね…
戦争…というより空襲かもしれないけど
すごいよね…としみじみ思う。

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この記事に対するコメント

うー、またそそられるご本(笑)

んふふー、お高くとまった意味じゃなく、
ご縁がないと体験も出来ない世界だしねー、
ご縁と興味がある方には、さわりだけでも
体感してほしいと思うんだな。

昭和20年生まれ(ぐらい)以前の遊び人は、
たいがい芸持ち(しかも達者)だからねえ、
自分の三味線や唄で芸舞妓に舞ってもらったりして
遊ばはんのよね。
こーゆう遊びはぜひ続いてほちいもんどす。

(長々とシツレイ)
ちーまま | 2005/08/01 2:05 AM
その節はありがとうございました。

多分、こういうのって
例えば、「着物」「舞」「音曲」などなど
わからないと真のおもしろさって
理解できないのかもしれないなぁとも思う。

舞見てても「へぇ、これが日本舞踊」って
感想だとやっぱり切ないなぁと思っちゃった
(もちろん初めて見る面白さはありますが)
その踊りをネタに話すこともできないし。
(あこがれる風流な会話)

だから、昔の遊び人は芸達者だったんだね。
そういうのがわからない人は、当時は
「ダサい」ってことだったろうし(笑)
そして、そういうところに出入りできる家に
育つような人は、
ちゃんとそういう手ほどき受けてたんだろなぁ。
今だったら「俺のギターでみんな歌え」って
ギター弾く人はもちろん楽しいし
その歌を知ってる人は歌ったり聞いたりして
楽しいかもしれないけど
知らん人にとっては「ポカーン」ってかんじ?

でも「あ、こないだその歌の話聞いて
 一回聞いてみたいと思ってた!」
って思うと、また興味がわいて楽しいのです

わたしは文章から想像することしかできなかったから
実際に体験するとまた思うこともたくさんあって。(考えすぎ)


う、うまくいえないけど(汗
要点は、

また誘ってください〜

ということでした


この本、すっごい面白いですよ。
ちーままさん好きだと思う!



うたぎく@長文コメ | 2005/08/01 7:05 PM
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