地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
<< March 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | permalink | - | -
<< 「カンフー・ハッスル」 | main | 山崎豊子:しぶちん >>

山崎豊子:仮装集団

仮装集団
4101104085山崎 豊子

おすすめ平均


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


すぐれた企画力で大阪勤音(勤労者音楽同盟)を牛耳っているニヒルな敏腕家流郷正之は、勤音内部の政治的な傾斜を感じている。勤音組織は人民党とつながっているのではないだろうか?党との関係を探るため、流郷は美貌の経理責任者江藤斎子と情事を重ねた。だが、全てを知った時、流郷は…。政治の手で操られる集団の不気味なエネルギーを綿密な調査と豊かな筆力で描く長編。


「集団」っておもろいよね…
いや、おもしろがっちゃいけないんだろうけどさ。
上の方の立場でやってたらちょっとおもろいやろうなぁ。

もちろん実話ではないけれど、時代背景にちょっと詳しい人であれば
一時期のもごもご(口を濁す)な時代、
戦争が終わって、日本が高速に復旧し始めて、
世界は冷戦の時代に入る頃で、
資本家と労働者という考えがあって…ストだー!とかそういう時代。
資本家は労働者から搾取している!みたいな。

純粋に、安い賃金で(?)働く労働者に安くいい音楽を
聞かせようとして始まった勤音。
そこで働く流郷(すげえ苗字)は、ものすごい企画家で、
オペラを日本の歌舞伎に置き換えてやってみせたり、
会員を集めて大合唱をやったり、
勤音会員からオーディションしてミュージカルを作ったり
とにかく、会員の目を惹き、さらに会員を集める
そんな企画屋さん。

彼は勤音という何万人も会員がいる組織というものをおもしろがっていて
その人数、組織力を使って、もっとおもろいことやってみせたい!
ただそれだけだった。

だけど、「勤労者の集団」という組織は目をつけられ、
そこにひとつのイデオロギーが流れ込む。
共産主義、というイデオロギー。
大きなイベントだけじゃなく、小さな地区単位の集まりの中で
(レコード聞く会とかね。時代だなぁ)
その意識は静かに蔓延していく。

その手法がおもしろい。
かわいい女の子を投入して、男子たちと手をとりあって
フォークダンスなんかを躍らせて。
そこで男子がぽーっとしてたら、さぁ勉強会。
そこにまたサクラみたいな男子が活発な発言をして
かわいい女子の心を掴んだりしたら、ほかの男子も負けてはいられない!と
論戦に参加しようとしてしまう。

他愛ないんだけどね。
「歌って踊って恋をして」
傍から見たらちょっと楽しそうなその集まりの中に
巧妙に織り交ぜられる、その思想。
歌う歌は「レーニン万歳」だったりする。
思想や宗教や、そんなもののきっかけは
結構他愛ないものなのかもしれない。
仕掛ける方って楽しいだろなぁ。
「はい、一人バカゲット!」みたい。笑。

それに危機感をもったのが経営者側の団体。
対抗しうる音楽団体を作ろうと立ち上がる。
こっちはお金もたくさんあるし、政治力ももってるので
すごい企画を勤音の企画にぶつけてくる。
それに立ち向かうのは流郷だ。

だけど、流郷自体はそんな思想なんかとは無縁の人間だった。
どんどん組織の雰囲気が変わってくることに気づいた流郷は
組織内の調査を一人で進める。
会計の微妙な不透明さ。
流郷の出す企画について、どんどん思想的な裏づけを求め始める会議。
人民党への選挙協力を始めたり。
でも、流郷は勤音から離れようとしなかった。
彼にとっては、やはりこの中でどれだけやれるか、
そんな野望を捨て切れなかったから。

経営者側の団体の旗振り役のおっさんは愛人を囲っている。
その愛人の弟の菊村俊一は勤音で、どんどん共産主義に染まっていく。
自分の姉は、資本家の犬になっている!
汚い女だ!もう姉弟の縁なんか切ってやる!
お姉さんがそういう手段しかなく、そのお金で
自分は学校に通わせてもらったことも忘れたように。
その狭間で悩む姉。

俊一は、流郷にもなついていて、
流郷は彼のことを本気で心配していた。
浅はかに流されるなよ、活動家にはなるなよと。
あるとき、流郷の部屋にやってきて
お姉さんのことや、企画に対する思想のことなんかを
きゃんきゃん吼えていた俊一に向かって
流郷は、自分の本部屋に連れて行く。
そこには哲学の本や音楽関係の本、文学や経済やマルクスもレーニンも
あらゆる多くの本が並んでいた。
「きみは、この本の中でどれだけの本を読んだことがある?」

…かぁっこいいーーー!!

本来、思想とは無関係なはずの団体。
だけど人が集まる場所にはある方向性が生まれていく。
それを煽る人間がいて、画策する人間がいて。
そして、それ以外の一般大衆は常に踊らされる。

その中で一人、自分の道を進もうとする流郷。
だけど、だけど。
うわぁーーー!そういうオチかよ!!

政治や宗教や思想というのは大変ナイーブな問題で
連れと話す分にはいいけど、
まぁこういうとこに書くのはアレなんですけどね。
でも大抵の大学なんかはそういう集団がいるし、話もよく聞いた。
もちろん、善悪や是非はわたしにはわからない。
今は力も弱いと思うが、わたしの行ってた大学や学部は
そういうことに異常にナイーブになったましたから!
追求するなよ)

そんな危険な話(笑)じゃなくたって
何がお洒落か、とかそういう話でも
結局自分の意識なんて定まってないでしょう?
雑誌を見て「これが最先端だ!」って思うわけだ。
そこから外れた人間は「ださい人間」になることだってある。
もちろん今はファッションはたくさん分類があるけれども。
OL系ファッションの中にCUTIE系な奴がいたら、それはダサいんだろうし。
子供たちの「ムシキング」の世界にもヒエラルキーは存在する。多分。
状況によっちゃイジメすら存在するだろう。
そこで、ついていこうと必死に努力する。

音楽であれ、ファッションで文学であれ、
世界中で流行しているものの中にも
必ず背景は存在するし
それらを学ぶことは悪いことではない。
それに共鳴することが流行なのだから。
でもそれはそれが流行している集団の中での話であり
盲目的にそれが正しいと思うことの恐怖、って言うんですかね?

そしてそれらの入り口は巧妙な手口で開かれている。
ひょっとするとその中に、恣意的に何かを捻じ曲げようとする人が
いるかもしれない。
…なんて、うっとおしい女だな、わたしも。笑

まぁそういうことはさておいても
息をつかせない展開。
俊一ーー!どこ行っちゃうのーー??とか。
流郷、頑張れーー!ってさ。

おもしろいよなぁ。集団ってさ。




人気blogランキングへ

作家別「や」行 | permalink | comments(2) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

- | permalink | - | -

この記事に対するコメント

>追求するなよ

ヲイラに言ってるのかな?(・o・)
デミアン | 2005/08/08 10:30 AM
突っ込みどころを用意することと
先手を打つことを覚えました。うふ。
うたぎく | 2005/08/08 12:46 PM
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://utagiku.jugem.cc/trackback/293
この記事に対するトラックバック
BlogPeople
■古本市場■