地味な女子の読書とか映画とか。

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山崎豊子:しぶちん

4101104050しぶちん
山崎 豊子

新潮社 1965-04


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”しぶちん”とは大阪弁てケチン坊のことだが、ケチが陰にこもらない開放的な言い方である。19歳で伊勢の沢庵売りから大阪の材木問屋に奉公して財をなした山田万治郎は、”しぶまん”と呼ばれながらも、昭和初年に、商工会議所の議員に推薦される。大阪商人の金銭への執念を捉えた表題作の他、大阪富商の町、
船場に憧れと執念を燃やした女の一生を描く「船場狂い」など、全5編を収録する。


まず。
「船場船場」と言ってきましたが、果たして船場とはどこでしょーう。
関西圏住民の方はさておき(?)日本全国からお客様も
いらっしゃっていることなので
ちょっと整理致しますね。
まず、大阪市内の真ん中よりちょい北くらいになります。
まぁ詳しくはwikiで見てもらえばいいんだけど(ひどい)

地下鉄の駅で言えば
南北は淀屋橋から心斎橋。
東西は北浜・堺筋本町〜西長堀・阿波座まで。
路線図で見るとぐるっといびつだけど円状態になっております。
ちなみに大阪も中心部は京都と同じように碁盤の目状になっており
南北の道路が「筋」東西が「通り」という名前になってます。確か。

もちろん、戦争で焼けちゃったせいか大阪が寂れて(?)きたせいか
昔らしい面影はそんなにないのですが。
ただ、道修町通りなんて通りには製薬会社が並んでいるし
(冬香の旦那も…)
「吉兆」も、微妙な立地にしっかり建っているし。
大通りから一本入れば、そこは新旧ごちゃごちゃとしているところです。
伊藤忠などの本社も…まだあるよね…??

ちなみに淀屋橋の北、梅田になるとそこは「キタ」と呼ばれ
心斎橋から南、難波、その周辺は「ミナミ」と呼ばれます。
で、その間に位置するいわゆる「船場」地帯が
「船場」と呼ばれているかと言えば…聞いたことねえな。

昔は、その一帯に様々な問屋街が並び、
暖簾を翻し、そして「船場文化」とでも呼べるような
特殊な風習がまかり通っていたのです。

奥さんのことを「ご寮人さん(ごりょんさん)」と
そして長女を「大嬢はん(おおいとはん)」
次いで「中嬢はん(なかいとはん)」
そして「末嬢はん(すえいとはん)何故か略して(こいさん)と呼ばれる」
そう呼び習わす風習。
使用人の呼び名も立場によって決まった名乗り方がある。
そういう場所。
四季折々の風習、何月には何の生地の着物を着るとか、そういう決まり。

そういう船場に憧れた女が「船場狂い」という短編の中に出てくる。
船場の外、でも道挟んだ向こう、とかそういう場所に生まれ育った彼女は
娘の頃からそこの中に入りたくて仕方がなかった。
学校も、船場の子女が通う学校にもぐりこんだ。
習い事も、船場の奥さんが通うようなところに入った。
誰よりも風習に通じ、船場のご寮人さんたちとも仲良くなった。
でも帰っていくのは、船場の外だ。
その悔しさをバネにして
自分の店も諸事船場風にし、家族に嫌がれても周りに笑われても。
そうやって何十年も思い続けて、その夢は適う。
それは彼女だけの夢。
アメリカンドリームみたいなわかりやすさではない
屈折しつつ、そこで適った夢の姿は切ない。

「しぶちん」の方もすごい。
毎日小銭を並べて貯めていく。
小銭を貯めるためには、恥も外聞もない。
嫁を選ぶのも「お金のかからない女」であること。
家では粗食を貫き、宴会の席に出れば食べ物を持ち帰る。
こちらも周りからは失笑されながらも、独自の道を貫いていく。
ある意味爽快でもあり、その執念に恐怖も感じるくらいだ。
ここまでくると、
そんなに貯めても墓場まで持って行けないよ、とか
貯めることによってより使えなくなっていくのでは?とも思うが
この人達にはそれはない。
すこーんと使ってしまうときがある。
もちろん、それは彼らにとっては計算上ではあるのだろうけど。

そういうところがすごいなぁと思う。

この2編が群を抜いてわたくしを惹き付けたので
他の3編については略します。
山崎さんの現代風な短編というのは
上手なんだけど、ちょっとつらいんだ。
有吉さんの本でもそう思ったけど。
そのつらさは「物足りん!!」ってことかもしれないねぇ。


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