地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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瀬戸内晴美:国際結婚の黎明ー人物近代女性史ー

4061844598国際結婚の黎明―人物近代女性史
瀬戸内 晴美

講談社 1989-06


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思わず、目がうるっと…
さて、ぼちぼち集まってきました。このシリーズ。
やっぱ一番読みやすいや。
子供の頃読む、プチ偉人伝みたいに。

さてこれに出てくるのは以下の6名。
■クーデンホーフ光子
■モラエス・ヨネ
■モルガン・雪
■ベルツ・花
■ラグーザ・玉
■シーボルト・イネ

この中でシーボルト・イネだけ結婚はしていません。
モルガン・雪シーボルト・イネについては別の本で出てきたので
今回は他の4名について。

彼女達は江戸の終わりや明治の初めに生まれた。
明治になれば開国もされて、都会では外国人を見ることも
あっただろうけど大抵の日本人にとっては、珍しいものだった。
髪の色も目の色も違う、言葉も違う。
そんな彼らに接するのは、むしろ珍獣(?)に接するようなもん
だったんだろう。
しかも、当時は飛行機もないから
世界はまだまだ遠かった。

その中で、彼らにくっついて外国へ単身乗り込んでいった彼女達は
たくましい。
もちろん、その国で日本人に会うことなんてなかったろう。
日本語で喋らない日々が何十年も続く。
(まぁ彼女達がどこまで覚悟していったかはわかんないけどさ)

でもねぇ、彼女達は幸せだったろうなぁ。
このシリーズの他の本読んでても、結婚した男女はたいがいその生活破綻してるもの。笑
あるときは、男子の浮気や暴行や貧乏に耐えて。
あるときは、自分の目指す道と衝突して。
わたくしは別にフェミでもないけどさー、
それを考えると彼女達は幸せだったように思う。

彼女達を見る、「外国人」の彼らの目はいとしさに満ち溢れている。
ま、当時極東の島国にはるばるやってくるだけでも
ものっすごい物好きだけどさ。笑。
彼らの目には、化粧っけもなく、ちんまりしていて
感情を大きく露わにしないけれど芯の強く仕えてくれる日本女性(当時のな!)は
好ましいものだったんだろう。
それは彼らが魅せられた日本の風土と同じように。

モラエスとヨネの話はもう、胸がきゅーんとする。
日本に、徳島に、ヨネに魅せられて日本人になりたい!と心から思っていたモラエス。
ヨネが先立ち、その後沿ったコハルも死んでしまうと、彼女達と同じ墓に入りたいと懇願する。
お墓参りのときには、墓石にキスして抱きついてわんわんと泣く。
お墓掃除も墓石を持ち上げて、清水でざぶざぶと洗う。
50歳くらいの大きな異人さんが。
傍から見たら奇妙極まりないけど(笑)、
そのシーンを想像するだけで泣ける。
まるまる30年、日本で暮らしたモラエスは念願適って、日本で死に、
日本でお墓に入った。

クーデンホーフ光子は、オーストリアの外交官の家で働いているときに
見初められた。
相手のクーデンホーフは伯爵。
当時のヨーロッパの貴族社会に飛び込んだ光子は
次々と子供を産み育てながら、持ち前の聡明さで
「極東の小さな島国の町民の娘」という周りの目を見返していく。
彼女は日本を出る前に皇后から、
「日本女性としての誇りを忘れずに」との言葉を賜っていた。
彼女の胸には死ぬまで、その言葉を信条としていた。
夫が早くに死んでしまったあと、
彼女はクーデンホーフ家の財産の管理を任される。
そこでも、彼女は奮闘していくんだけどそれによって
子供たちとはだんだん溝が出来ていく。
彼女の次男は、リヒァルト・クーデンホーフ。
知らなかったんだけど、彼は今のEUの前身EEC(欧州経済共同体)の元となる思想
バン・ヨーロッパ運動の提唱者として世界的に有名になる。
ちなみに彼女はゲランのミツコという香水のモデルの一人でもあります。

ベルツ・花はベルツという、開国後の日本に医学を教えに来ていたドイツ人医師に
見初められた。
ベルツが日本に残した功績はものすごいもので、
(葉山が保養地になったのは彼が言いだしっぺだ)
花は、彼を細やかな気遣いで支え続けた。
彼もモラエスと同じように、日本を愛し、花を通じて日本人を愛した。
いや、たぶんね、ほんと癒されたと思うよ、彼らは。

ラグーザ・玉の夫であったラグーザはイタリア人で
日本に美術を教えに来ていた。
玉はずっと絵を描くのが好きで、日本画の先生に習ったりしていたんだけど
上村松園よりも彼女は15歳年長)
ある日、家人が管理する庭園に異人さんを一人連れてきた。
それがラグーザだった。
ちょうどそのとき、絵を描いていた玉に目を留め、
日本画の描き方一辺倒だった彼女に西洋の絵の書き方を教え始める。
ものすごくささやかな、まるで童話のような交流が続き
やがて、ラグーザがイタリアに帰国することになる。
ラグーザの夢は、故郷に美術学校を作ること。
そこに、日本の美術も取り入れたい。
そこで、玉さん、一緒にイタリアに来てくれませんか?と。
当時はまだ二人の間には恋は芽生えてたかどうか?
そのときは、数年で戻る約束で、玉と、彼女の姉夫婦と3人を連れての
イタリア行きとなった。
これがちょっとおもしろいなぁと思う。
この姉夫婦も思い切りがいいというか。
そして、やがて姉夫婦が帰るときには、玉はイタリアに残った。
イタリアで絵を描き続けた。
だけど、日本では彼女の存在は忘れられた。52年もの間。
ラグーザは日本に行きたかったし、
玉を日本に連れて帰ると約束もしていたんだけど
諸々の事情でそれもできなかった。
その間、日本に帰らなかったことで日本との縁は切れてしまい
彼女は日本の文字を忘れてしまう。
ラグーザが亡くなり、その頃、日本で自分を主人公にした物語が連載され
それでようやく、日本人はイタリアにそんな女性がいて
彼女は芸者とかではなく、ちゃんとした画家だ、ということを知った。
それで、彼女は日本に帰ってくる。

いやぁ、この本は良かった。
なんか今のネオジャポニズムというか
変なオリエンタル好きとかじゃなくて。
日本という国を本当に愛してて。
それが本当に恋のようで。


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