地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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瀬戸内晴美:ゆきてかえらぬ

ゆきてかえらぬ
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第一次世界大戦後のヨーロッパ社交界に君臨し”バロン・サツマ”と華麗なプレイボーイぶりをうたわれた薩摩治郎八の近況をふとした機縁で知った表題作をはじめ、幸徳秋水の離別した妻、師岡千代子、太宰治、丹羽文雄、竹久夢二などさまざまな人間像のなかに人生の真実をみごとにさぐりあてた意欲評伝小説集。


詩のような人生。
ということで、美輪さんの本で久しぶりに「バロン薩摩」の名を見たので
読み直しました。
あー、そうかそうか。

この本、多分3年くらい前に読んだような気がするんだけど。
「バロン薩摩」の名はこれで知ったはずなのに、
昔ヨーロッパで金使いまくったすげえ金持ちだったつーことしか
わからなかったわけがわかった。

この話は、彼がヨーロッパから帰ってきて、
阿波踊り見に行って脳溢血で倒れて
徳島で細々と暮らしている、そこに寂聴さんが会いに行った話だ。
この中で、徳島に帰った寂聴さんが、モラエスの話を始めるんだ。
だからモラエス・ヨネの話もこれで覚えてたんだろうなぁ…
わたくしの記憶力…。

薩摩治郎八の「バロン時代」はさておき、
ここではお金をヨーロッパで使い果たし
すっかり貧乏になった治郎八が、新しい奥さんをストリップ小屋で
見初めた話がちょっと良かった。
もう、あられもない姿で女子がごろごろしているストリップ小屋の楽屋に
ひょこひょこと入ってきて、いつの間にやらなじんでいる
ちょっとおしゃれなおっさん。
にこにこしながら、ストリッパー達に
「腋毛はそった方がいい。
 フランスでも腋毛のきれいなストリッパーは2人くらいしか
 いなかったんですよー」などと喋っている。
でもそのおじさんにはお金ないこと、みんな知ってて、
だからフランス〜という話も、みんな冗談だと思って聞いてる。
いいよなぁ、こういう話。
やがて、一人のストリッパーと仲良くなり、
気がつけば彼女の荷物を持って
彼女の後ろからついていくようになる。
「最近は飛行機なんてのがあるけど、ヨーロッパには船で行くのがいい。
いつか連れてってあげますよ」なんて言いながら。
そして、二人は結婚する。

寂聴さんが、徳島の彼のおうちに会いに行ったときも、
おしゃれな格好をして、それは田舎のボロ家に住んでいて
そこで、ヨーロッパでの豪遊の話をすることは
きっとちぐはぐなんだけど、
それをちぐはぐだと思わせない何かがあるんだろう。
それはその時代が生んだ詩のようなものだ。

ま、もうちょっと話聞いてこいや、と思ったのは内緒ですが。笑

他には、
寂聴さんが若い頃住んだ家が、太宰治の昔住んでいた家だった、という話。
うらぶれた画家が持ち込んでくる絵をついつい買ってしまう、
丹羽文雄の話。
(この画家は夫婦で自殺する。いちいちドラマだ…
 そいえば、丹羽文雄ってこないだ亡くなったんよね)
そして竹久夢二と笠井彦乃の愛らしくも壮大な恋の物語。
菅野すがのもとに走った幸徳秋水の元妻、師岡千代子の話。

愛して、尽くしてきた男に振り回され、裏切られた女の話は哀しい。
男に認められようと必死に生きてきたのに。
だけど、男の母親からは信頼され、それが彼女の誇りとなる。
菅野すがのことをかわいがっていつつも
「よく考えたら、やっぱり私は彼女のことを好きではなかったのだ。
 だから名前では呼ばず、苗字や号で呼んでいたのだ」なんてくだりは
ぐっとくる。
結果として、それぞれ伴侶がいながら恋に突っ走った秋水とすがは
早くに死刑・自殺となり、
残された秋水の妻千代子と、すがの夫だった荒畑寒村は
長生きするんだよねぇ。
不思議よねぇ…(ニヤ

夢二と彦乃の話は、もうほんとかわいい悲恋小説のようだ。
妻子のあった夢二と、箱入り娘だった彦乃。
ふたりは何度も引き裂かれ、離婚した夢二は京都で傷心を癒そうとする。
そこに家を飛び出してきた彦乃が現れ、
ようやく蜜月状態になるんだけど、
そのときすでに彦乃は病気だったんだよねえ。
彦乃を失ってからも、夢二には恋の話はたくさんあった。
だけど誰一人として彦乃以上に、夢二の心を捉えることはなかった。
死ぬまでつけていた、夢二の指輪には、
彦乃が死んだ年齢、そしてそのときの自分の年齢が彫られていた。
夢二の時間は、彦乃が死んだその瞬間から止まっていたんだねぇ・・


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