地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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獅子文六:但馬太郎治伝

4061982397但馬太郎治伝
獅子 文六

講談社 2000-12

おすすめ平均

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“私”は1930年、2度目のパリで、日本学生会館、通称メーゾン・タジマに宿泊し、設立者・但馬太郎治の名を知る。戦後、再三の奇縁から、当時、若く快男子で、日本人としてケタ違いの栄華を生きた彼の過去と現在に興味を感じる。レジオン・ドヌール勲章を胸に、パリ社交界で巨額の富を蕩尽した国際的大パトロン薩摩治郎八をモデルに真の教養人の比類なき生涯をエスプリ豊かに描く長篇小説。


日本には小金持ちは増えたけど、大金持ちがいなくなった…
ということで、「バロン薩摩」の続きでございます。
「ゆきてかえらぬ」が、もう晩年の彼の物語だったのに対し、
この話は、パリでイケイケ状態だった頃の薩摩治郎八から
徳島に隠棲した頃までばっちり抑えている。

とはいえ、彼の伝記ではなく、
「私」が行く先々で薩摩治郎八との因縁を感じ、
ちょっと調べてみては、ねたましくなったりしながら
ついに晩年になって初めて会う、という物語。

それにしても。
一ヶ月に3000万円もの小遣い(小…?)を贅沢に使い、
イギリス仕込のジェントルマンとしてパリに乗り込んでいった治郎八。
一ヶ月に3000万って。毎月郊外の一戸建て?
まぁそんな庶民の計算はさておき、
その3000万を何に使うかというと、
服やら車やら、美術品やら、そして藤田嗣治やジャン・コクトーのパトロンとして。
そのお金の使い方は豪勢ながらも、品の良い使い方で
パリの社交界の人々はそんな彼を賞賛した。
だってまだ20代だったんだもの!
そしてそれが10何年も続くんだもの!

そして華族の娘を嫁にもらい、フランスに連れていく。
彼は彼女に、フランスの社交界の花となるように教育する。
フランス語、礼儀やマナー。
彼らの会話についていくための教養。そしてファッション。
紫を彼女のイメージとし、紫ずくめの華麗な貴婦人に仕立て上げる姿は
何の小説よ!というくらいに素敵だ。

彼はフランスでお金を使いまくったが、
それは後に何も残らないお金だった。
唯一10億以上かけて作った、留学生会館だけが今も残っている。
そういうお金の使い方が格好いいなぁと思う。
家でも車でも、なんでも自分のオリジナルに作り上げる。
それは中古に流通しちゃうとむしろ不便なくらいに。
もちろん彼は、「これは後に資産となる」なんて考えはなかったんだろう。
お金は勝手に沸いてくるもの。
彼はそれを使うだめだけに生まれてきた。
そして使うことによって、パリの街に日本という姿を刻んだ。

お金にまかせて、そして時代の空気に任せて
社交界のサロンから、場末の劇場や娼婦街まで
全ての空気を体に纏った治郎八は、日本に帰ってからの貧乏な生活も
苦ではなかっただろう。

この”私”も、そんな治郎八に嫉妬し
でも話を聞くと想像以上のスケールなので逆に知りたい!と思ったり。
不思議な因縁に気がつくたびに、治郎八に吸い寄せられていく。

それにこの第一次世界大戦後の世界の姿!
腐りかけの果物のような芳香だ。
女をかけてピストルで決闘する。
失恋した挙句にフランス軍に従軍する。
タイで金脈を発見しようと乗り込んでいく。
怠情な朝のシーツの上で食べる、
クロワッサンとボウルに入ったカフェオレ。(胃、もたれませんか?)
そのディテールひとつをとってもそれだけでドラマだ。

そういえば、六本木ヒルズ?かどっかに入っている
ブランドショップの店員が
「IT長者の人々の買い物はしみったれてる。
 一番金遣いがすごいのは、俳優達だ」ってテレビで言ってたなぁ。
美空ひばりや、小林旭。松方弘樹(もか?)に勝新太郎。
無計画に使っているようにみえて、そこには彼らの美意識がある。
もう、あの自家用ジェットの販売見に行って
「買っちゃおうかなぁ」とかほざいてるIT社長とはえらい違いよね!
買えよじゃあ。買ってからテレビでろよ!
…はっ!また興奮。
でも「バリバリバリュー」見ててもさ。あんだけ金持ちいるんだけどさ。
なんか想定内(笑)よね。もう見慣れちゃったというのもあるけれども。

戦争で価値観ぶっ壊れたり、財閥解体されたり
不況になったり、円が弱くなったり、アメリカ怖かったり(笑)
そんなこんなで日本は小さくなっちゃったのかもしれないよねぇ。
で、私達も庶民のくせにリアルな情報だけはしっかり持っちゃって。
価値をすぐお金に換算してしまう。
だから手軽に手に入る流行にさっさと乗る。
そのせいで祇園なんかの日本文化や芸術がどんどんと廃れていく。
ま、今、彼のようなことやらかしたら大非難なんでしょうけど
それはそれで切ないよねぇ…


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この記事に対するコメント

平日5時半起床?ずいぶん早いなー。
その分、仕事が終わる時間が早ければいいのだけれど・・・。
でも考えようによっては健康的だよね!(早寝ができれば、という条件付で)
デミアン | 2005/09/13 7:01 AM
私も、バリバリバリューみてる。
ってか、日本にこんなにいたんだ、金持ちって・・・って思った。
でも、セレブとは思わないナァ。
やっぱ、代々続くような伝統と気品が欲しいよなぁ。成金じゃなくて。

最近って、IT社長って多くないですか?
なんでこんなにいるの?と思うくらいいるよね・・・。

そそ。私も祇園大好き。
京都大好き。日本の文化を大事に残しているところはすごく好きだけど、雑に扱って欲しくないよね〜。
achaco | 2005/09/13 4:07 PM
デミアンさん。

夜は別に早くないっす…。
12時には寝るようにしてるけども。
まぁ通勤電車で寝てんだけど
平日は睡眠不足〜

achacoちゃん

まぁ代々続いて「女系家族」になっても困るんだけど。笑
バリバリバリュー見てても
やっぱり外国系だと違うのかな?と思いつつ。
住宅事情もあるんだろけどね。

祇園とかの文化っていうのは
活用できる人が少なくなってきてるんだろうなぁと思う。
そのうち銀座とかそういうのも無くなるのかもしれないよねぇ。
これも日本の文化だから。
お金の問題もあるだろうし、好みも変わるし。
芸を愛でる感覚とでも言うのかしら…
上層部の人々は六本木ヒルズで
ホームパーティ。
ほんで下層の民は、合コンでお茶を濁すようになるんだきっと。
うたぎく | 2005/09/13 10:29 PM
下層の民です。
濁すお茶である、合コン自体がなくなってきました。

どーしたらいいんでしょうか?
うたぎく先生。
achaco | 2005/09/14 9:25 AM
ごめん、主語をはぶいちゃった。
男子がというお話です。
祇園も銀座も金を使うのは男だ。

祇園で芸舞妓ちゃんの踊りを愛でることも知らず(できず?)
銀座で夜の蝶たちのあしらい方も知らない男子は
キャバクラに流れるのかしら…。
で、そういう女子との交流がいやんな殿方は
手っ取り早く合コン?みたいな。

最近さぁ、合コンの話あっても
半分以上妻子もちだったりするんだよねぇ。
で、そういう奴らに限って
もって帰ろうとするんだよねぇ…
安上がりに済ませようとしてるなぁと
ちょっとご立腹。笑
うたぎく | 2005/09/14 6:33 PM
合コンの話があるだけいいじゃない。
こっちは彼持ち&夫持ちが増えてきてソーユー話がないのだけど。
なんで、昔はあんなに合コンがあったのだろう?
と、自分で謎です。

そうそう。妻子もちに限って・・・ね。
一夜のあまーい時間を、昔を思い出したいんじゃない?いけないことをしてる、スリル感?
家に帰ったら、現実が・・・(笑)
achaco | 2005/09/15 9:26 AM
いや、そんなにないんやけどな…
年に数回とかそういうレベルなので。

>一夜のあまーい時間を、昔を思い出したいんじゃない?いけないことをしてる、スリル感?

いやだぁ。蹴り倒したい。笑
うたぎく | 2005/09/15 12:46 PM
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