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平野啓一郎:一月物語

4101290326一月物語
平野 啓一郎

新潮社 2002-08

おすすめ平均

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明治三十年、奈良県十津川村。神経衰弱の気鬱を逃れ、独り山中をさまよう青年詩人・真拆は、老僧に蛇毒から救われ、山寺に逗留する。俗世から隔絶された奇妙な時空の中で、真拆はいつしか現実と夢界の裂け目に迷い込み、運命の女と出逢った。それは己の命を賭けることでしか成就しない愛、だが、刹那に失われる運命の愛だった…。古典的風格さえ漂う端麗な筆致で描かれた聖悲劇。


日本語というのは素敵ですなぁ…。
前回の「日蝕」では、彼の文章が(というよりも漢字の画数が…)
ぎらぎらと輝いているようなことを書いたんだけど。
いやぁ不思議よね。日本語って。
この本だと「静けさ」の威力が増す。

十津川ってとこは、日本一のつり橋があって、
一度行ったことがあるのだけど
本当に山の中。
近くにある(といってもものすごく遠いんだけど)天川村は
バスが一日に数本しかないような場所だ。
木が生い茂っていて、この山も向こうの山も、
全部がひとつの村みたいなところ。

そこに迷い込んだ真拆。←「マサキ」と呼ぶらしいっす。
蛇にかまれたところ、寺の住職に助けられてそこで静養する。
でも夜な夜な夢に出てくる、美女の面影。
彼はやがて、その夢の中の美女に心を奪われていく。

果たして、その美女とは誰なのか!?お楽しみに!
…と、ドラマティックに書いてみました。

光すらない闇の森や、虫の声。
星や月光。蝋燭の灯。そして、真拆の目の前に飛ぶ、揚羽蝶。
それらが全てゆっくりと匂いたつように動く。
頭も良くて、天才詩人だと騒がれて、
だけどどこかで頷けない真拆の中にある、情熱。
真拆が最後力尽きるまで追いかけたものが「恋」だったとは思えない。
魅入られるものを探していたんだろう。
だからあの山へ迷い込んだ。

日蝕」でもでてくる、
解決できない事柄に対する神や、魔物の存在。
京極さんの本にもよく出てくるんだけど、
こういう形で小説になると、「ほーう」と思う。
そしてそういった存在がひっそりと隙間に生きていた時代。
確かにロマンティックだなぁー。

それにしても。
例えば、当時の電車の乗り継ぎ方法。
細かいことを言えば、そういう部分まで綿密に調べて…
この人、ほんまに変わってるよなぁ…。
見た目はクラスに一人くらいいるタイプの顔なんだけど。
彼のホームページ見ても書いてることが高尚すぎてイマイチわからない…
だけど、デイリーポータルでパンの食べ比べとかしてるしなぁ。
興味深いわ…。変わった子。


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