地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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神坂次郎:縛られた巨人ー南方熊楠の生涯

410120912X縛られた巨人―南方熊楠の生涯
神坂 次郎

新潮社 1991-12

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異常な記憶力、超人的行動力によって、南方熊楠は生存中からすでに伝説の人物だった。明治19年渡米、独学で粘菌類の採集研究を進める。中南米を放浪後、ロンドン大英博物館に勤務、革命家孫文とも親交を結ぶ。帰国後は熊野の自然のなかにあって終生在野の学者たることを貫く。おびただしい論文、随筆、書簡や日記を辿りつつ、その生涯に秘められた天才の素顔をあますところなく描く。


曼荼羅のような知識…(うっとり…
粘菌というものがさっぱりわからないのですが。
つか、高校のときに
「なぜあたくしの少ない脳のキャパを
 ショウジョウバエの交尾についやさなあかんの?」と
さっさと生物と決別してましたからね。あたくし。文系には珍しく。

だから、前々から名前は聞きつつも縁のない人やと思ってた熊楠さん。

それが、「この結婚」を読んだときに
なんやらおもろそうな人やわ、と思い。
そう思っていたら、本屋さんにどどーんと平積みされているのを発見。
こういう評伝大好きなので、嬉々としてお買い上げ。

まず、表紙開いた瞬間に、熊楠若かりし頃の写真があって。
格好ええんやわ、これがまた。
凛々しくてさぁ…。

そして、子供の頃から凄まじい記憶力を発揮する。
「和漢三才図絵(百五巻)」「本草綱目(五十二巻)」
「大和本草」「日本記」「諸国名所図絵」「太平記(五十巻)」…
次々と読んでは記憶し、家に帰ってからそれを紙に残す。

ぱっと見、脈略のない本たちだが、
これが熊楠の脳に蓄積されるだけで、
のちに「曼荼羅」のよう、と呼ばれる熊楠の知能になる。

まぁね。それだけでもすごいんだけどさ。
この人は、西郷さんのような強烈なキャラを持ち合わせて
日本、アメリカ、そしてイギリスを走り回る。
勉強は好きだが学校が大嫌い。
学歴はなかったし、どこかの研究に属してるわけでもない熊楠に
イギリスの学問の世界は答えてくれた。

例えば、学歴やコネや派閥。
そういうものを使わずに、
自分の目で万巻の書物を読み、自分の手足を使って調べる。
それがリテラリーマン(文士)である。
その気概を熊楠はずっと持ち続けた。
すっごいよなぁ…泣けてくるもの。
感激屋で、感情が豊かで、おもしろいこと、
大騒ぎすることが大好きな熊楠。

そういう才能が大爆発しそうな熊楠の上にのっかっている重石。
それは資金難だった。
もともと熊楠の家は大金持ちの酒屋さんだ。
それが父親が亡くなって、
一番跡継ぎができそうな弟に家督を譲ったはいいけど、
この弟が、あくどさを発揮する。
兄の熊楠には
「景気が悪くて、うちももうやばいから・・」と仕送りを
断っていたけれど実際は、手を広げて全然お金持ち。
熊楠が相続したはずの分の財産も、なんだかんだ言って渡さない。
お金がなかったら生きていけない。
熊楠の研究は、海外では一定の評価を得ていたけど
お金ががんがん入ってくるものでもない。
そして、イギリスでも博物館勤務なんかを薦めてもらいつつも
熊楠の性格、そしてやりたい研究を続けるためには
それは足かせになりかねなかった。

結局それが熊楠の弱点になってしまう。
も、もったいない。

その後も、最愛の息子が狂ってしまったり
熊楠の周りでは常に何かが落ち着かない。
なんかもう、かわいそうで…
そのたび、泣いたり、笑えたりする。

粘菌のことはさっぱりわからないけれど。
熊楠の知識欲は、そこにはとどまらなかった。
世界中の各地の伝説や神話、民話を記憶したり
新旧問わない知識が熊楠の頭には詰め込まれる。
彼の手紙や論文は、話があちこちに飛んで
どこに行ってしまうのやら…と思いつつ
最後にはきちんと結論に落ち着く。
そのとき、人は、その手当たり次第に思いつきで書かれたような
文章が最後にはつながっていることに気づく。
彼の知識の幅が広すぎて。

格好いい…。

熊楠はお金がなくて、それをずーっと苦にしていた。
お金のためにする仕事の時間がもったいない。
その時間があれば、書きたい、研究したい。もっともっと
色んなことを知りたい。

それは、「葬送」のドラクロワの持っていた焦りとも近い。
時間がない。
その悲鳴に近い叫びは、わたくしの心を掴むのですよ…えぇ。

熊楠という頭脳を中心として。
様々な言語。民話や神話。粘菌に…
その知識が織り成す、曼荼羅。
読んでいくだけで(わかんないんだけど)圧倒される。うらやましい。
その記憶力を少しでいいからわたくしに…orz


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