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幸田文:父・こんなこと

4101116016父・こんなこと
幸田 文

新潮社 1967-01

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父・幸田露伴の死の模様を描いた「父」。父と娘の日常を生き生きと伝える「こんなこと」。偉大な父を偲ぶ著者の思いが伝わる記録文学。


日本っていい国だったんだねぇ…
前半の「父」は父親の介護から死までの話。
後半は、そのお父さんが娘に施した素敵すぎる教育のお話。

前半はねぇ、つらかった。
いつまでも大きな存在で、いつも叱られてばっかりだった父親が
寝付いて、どんどん衰弱していく。
だけど、娘の看護の仕方が気に入らないと元気なときには
嫌味のひとつも言われながら。
母親がいなかったから、もう、父親と娘だけの闘病生活。
それに、父親は、あの幸田露伴だ。
自分の父親であり、日本の宝でもある。
その重さに何度も耐え切れなくなる。
多忙な生活がそれに追い討ちをかける。

わたしが父親を大事にできてないと世間は見てるんじゃないか…
そうやって余裕も失くしていくかんじがつらくてさぁ…。
全てが終わって脱力したかんじがまた切なくてさぁ。

今は介護サービスが云々と言われて、
家族だけで看ようとしないで、ということがおおっぴらに言われるけれど。
当時はそうじゃなかった。
入院もなく、最期まで家で看取ることが当たり前だった。
もちろん、今だってそういう家はたくさんあるんだろうなぁ。
それについての是非はなんともいえないんだけど。

うってかわって「こんなこと」は楽しい。
まぁ、娘は父親に叱られてばかりなんだけどさ。
母親がいない分、色んなことを教え込もうと躍起になる父親。
箒の掃き方。障子の張り替え方。雑巾の絞り方、米の研ぎ方。
そして男女の話まで。
作家だった父親は、それ以外のことまで教えようとする。
「娘は、『赤貧洗うがごとし』な家に嫁にやるつもりだ」なんて言いながら
風流人の友人に頼んで、彼女と弟を浅草に連れていかせる。
神谷バー、雷おこし。
おこしの材料は何か?豆屋のおねえさんの給料はいくらか?
鮨はこうやって食べるんだ、芝居小屋では何をやってたか?
この世には学問以外の学問がある。
このくだりなんて最高だ。

作家は家にずーっといるような仕事だから、というのもあるけど、
父親がずーっといる生活。
怒られもしたけれど、たくさん遊んでくれた父親。
お酒に酔うと上機嫌で楽しいお話をしてくれる父親。

いやー、いいなぁ。

今って小学校でも教室の床の雑巾がけとかしないんでしょ?
雑巾の絞り方なんかも習わない子がいるんだよねぇ。
障子貼りもすることないんだもんねぇ。
(わたくしは破る専門だったけど)

昔の日本っていい国だったんだなぁ、としみじみ思う。
いやぁね、27歳でそんなこと言ってちゃ。笑

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この記事に対するコメント

うたぎくさん、こんばんは。
少し前に露伴の作品をいくつか読みました。あまりにむつかしくて何が書かれているのかさっぱりわからない作品もあれば、五重ノ塔のような情味にあふれた親しみやすい作品もあり、多才な人だなとの印象。
今回、うたぎくさんの記事を読んで露伴の文に対する愛情を知り、昔の作家にもそういう人がいたんだと安心しました。文士と言っても無頼なやつばかりではなかったんだなというのは先般放送された太宰のドラマを見ての感想ですが。
この作品ぜひ読んでみたいです。
kyokyom | 2005/10/13 11:53 PM
kyokyomさん

お返事遅くなってもーしわけない★

池波正太郎のエッセイなんかを読むと
本当の文士というのは
私生活ではめちゃくちゃやってても
公的な場ではびしっとしていた
(時間を守る、とか)らしいですねぇ。
露伴の本は…読んだこと・・ないのですけど
どうだったんだろうね?私生活。笑

あー、こないだの太宰ねぇ。
ちょこっとだけ見た。
河村隆一にしろ、豊川悦司も
そこはかとなく似ている。笑
うたぎく | 2005/10/17 9:22 PM
うたぎくさん、お久しぶりです。忘れてる?(笑)
「父・こんなこと」読みました。
「父」では使われていなかった言葉だけどあの内容はまさに「介護」ですよね。読み始めの頃には露伴ってやっかいな病人だ、頑固者だとか思って幸田文に同情していました。でも、病床にある露伴の頑固さって幸田文にしてみると父が父であってくれる安心の材料だったみたいですね。
そして「こんなこと」の浅草の部分は確かに楽しい。現代で粋とか風流ってどこで味わえるんだ?って考えたりしました。いや、おいらにその気が無いから分からないだけかな。
とにかく、こちらでこの作品を知ることできて良かったです。うたぎくさんの文章で興味持たなかったら、この作品とは出会えなかったかも。感謝。
kyokyom | 2005/11/28 8:05 PM
kyokyomさん

やー、覚えてますよ。笑
再びコメントありがとうございます。

当時は「介護」という言葉がなくて
当たり前のように肉親が看ていた時代ですものね。
しかも文の場合は他に頼れる家族がいなくて
父親だけど、日本の宝を背負ってる…ってところがしんどくて泣けそうだった。
先に「父」を読ませて、そのあと
元気だった父の「こんなこと」という順番は
なんとなくにくいですよねぇ。

>現代で粋とか風流ってどこで味わえるんだ?

考え方次第だとは思うのだけど
着物が当時は日常着だったように、
例えば、今のお笑いやJ−POPのようなものだったと思うんだよねぇ。
まぁもっと厳密に大人と子供の境界線があった時代の話だけど。
今はなぜこんなに敷居が高くなっちゃったのかなぁと思ってみたり。

>こちらでこの作品を知ることできて良かったです。うたぎくさんの文章で興味持たなかったら、この作品とは出会えなかったかも。感謝。

いやいやいや。
そう言って下さるなんて…
手にとった、という時点でkyokyomさんは
この本に呼ばれてたんですよー

また来てくださいませー


うたぎく@コメント長っ | 2005/11/28 11:04 PM
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「父」 この作品はうたぎくさんのブログ「地味な女子の読書日記」で知り、興味を持ちました。 「父」は娘の幸田文が病で倒れた父露伴の世話をし、最期を看取り、葬式を出すまでを記した記録文学です。 露伴は看病する側としてはかなりやっかいな人かも。頑固な人なん
「父・こんなこと」 幸田文 | くるくる日記 | 2005/11/28 10:09 PM
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