地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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平野啓一郎:葬送 第二部

4101290350葬送〈第2部(上)〉
平野 啓一郎

新潮社 2005-08


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千八百四十八年二月、大好評を博したショパン六年ぶりの演奏会の一週間後、フランス二月革命が勃発する。民衆の怒涛の奔流は、首相の解任、王の退位を実現し、共和国を生み出した。貴族達の惑乱と不安、活気付く民衆。ショパンは英国に移るが、過酷な演奏旅行を強いられ、体調は悪化する。一方ドラクロワは、ある画家の評伝の執筆にとりかかる。時代の巨大なうねりを描く第二部前編。


( ゚д゚)ポカーン
更新が遅くなったのは、これに悪戦苦闘していたからでございます。
いや、第一部読んでだいぶなれてはいたんだけども。
その後、ルーブル美術館展見に行き、
更にBESTPIANOなんていうCDまで買い、ipodのプレイリストに
「ショパン」なんてものまで作って…
…うん!正露丸!(←前奏曲第7番, イ短調)
しかも、「3日でわかるクラシック」まで買ってさぁ。

なぜ、わたくしはここまでがんばったのか…。

いや、感動とかなんとかというよりも
達 成 感 ?
わたくしに残ったのはこんな感情。

ショパンがみんなに愛されてー、すっごく大事にされてー、というのは
うざいくらいによくわかるのだけれど
なぜ、そうなのか?というそこまでの魅力がわたしにはわからんかった。
美青年?で、天才的に美しいピアノを奏で、
入ってきたお金でこだわりのある贅沢さを楽しみ、
サロンというサロンを小鳥のようにさえずってまわった、ショパン。
いや、いいんやけどさ。
40手前のおっさんに「まるで白百合のようだった」という表現をする
勇気というか男気がわたくしになかっただけだろうから…(遠い目

まぁ、そんなショパンはさておいて
ショパンが好きすぎて、ついつい自分の理想どおりに動かそうとしてしまう
スターリング嬢という女子がわたくしには好ましかった。
ショパンが喜ぶはず!と信じて、自分の故郷に連れていって
親戚一同に会わせたり、イギリスで演奏旅行を企画する。
更に、「ショパンは何で彼女のとこにいるのかしら?
結婚でもするのかしら?」なんてうわさがたったら有頂天になる。
でも、ショパンは実はつらーくて、どんどん体力を失っていく。
結局、それがショパンの死期を早めてしまって
パリの人々から大ブーイングを受けるんだけどさ。
こういうキャラがこの本では新鮮で…

もうね、なんかね。ショパンがうっとおしくて。
嫌なら嫌って言いなさいよ!
パリの人々はショパンの為に、
ショパンの好きな人々だけをショパンの好きな時間にしか
会えないように取り計らったりさぁ。
その中心で音楽のことしか考えてないのー、と白百合のように
たたずむショパン。
子供とかならまだしも40手前の大人がよ!
そりゃ、サンド夫人も「あの人は子供で」って思うよ。
ま、サンド夫人もこの本の中ではなーんの魅力もないオンナな訳だが。

一方ドラクロワもなんつーか、薄いキャラなんだよなぁ…。

というのも、多分、
ここに出てくる登場人物の感情が全部一気に書かれているからなんだろうな。
Aさんはこう言いました。
言いながらBさんはこう思うだろうなと思いました。
BさんはAさんの言葉にうなづきながらもCさんのことを考え
Cさんはそのときこう考えて…
みたいなことが、一気にひとつの文章とか段落で出てくるからなぁ。
…あれ?誰の話だっけ?と思う。
せめて一行空けてくれ。これはこれで面白いとは思うからさ。

頼られること。
秘密を打ち明けられること。
それぞれの自尊心を満たしたり、傷つけたり。

そしてショパンは死んでしまう。
ドラクロワの描いた絵は、今でも見ることができるけれども
ショパンの演奏はもう聞くことはできない。

前述したような、様々な努力を経て無事読み終わりました。
いやはや、勉強になりました。
何せ、クラシックも絵画もわからない野生の子だったから。
そういう意味では読んで良かったと思います。
読んで楽しいというよりも「勉強した!」って気分だが。

ところで。
この本の解説が笑える。
小説の中で、カント(誰…)の「天才論」のくだりがある。
天才のことは天才にしか語れないとか、そういう話。
それでこの解説者は
「ショパンやドラクロワは天才ですが、それを書いたあなた自身は…?」
って聞くのね。平野に。
そうすると彼は
「僕のことは別として…カントが言うには…」と。
その場にいたら、わたくし確実に笑死にそうになるわー
うーん、このニュアンスをどうやったら伝えられるだろ。笑
関テレの岡安アナ(ついにオカマキャラで売り出し始めた)と同じくらい
ヲチ対象なんだけど!



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4101290369葬送〈第2部(下)〉
平野 啓一郎

新潮社 2005-08


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この記事に対するコメント

白百合?小鳥?
読んでみようかしらん。
恥ずかしながら私、恋人には白百合のような存在でいてほしいという願望があるかも笑

ちなみに幼少の頃、誤って飼っていた小鳥を死に至らせたことがあります・゚・(ノД`)・゚・
綾 | 2005/10/25 1:59 PM
■黒綾

バンビちゃん、愛らしいもんねぇ
(お会いしたことはないが)
綾はこの世界嫌いじゃないかもしれない。
ショパンもペール・ラシェーゼに眠ってるし。
この本、帯の文句が格好いいんだよなぁ。

>誤って飼っていた小鳥を死に至らせたことがあります

(>_<。)
生殺権があるわけだね…小鳥の飼い主は。笑





うたぎく | 2005/10/25 10:46 PM
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