地味な女子の読書とか映画とか。

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リリー・フランキー:東京タワー

4594049664東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
リリー・フランキー

扶桑社 2005-06-28
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読みやすさ、ユーモア、強烈な感動! 同時代の我らが天才リリー・フランキーが骨身に沁みるように綴る、母と子、父と子、友情。この普遍的な、そして、いま語りづらいことがまっすぐリアルに胸に届く、新たなる「国民的名作」。『en-taxi』連載、著者初の長編小説がついに単行本化。


リリーはずるい。
才能を食い散らかすような人が好きだ。
例えば、自分で本を書いて、
さらにその本のイラストや装丁まで手がけるような人。
いつまでも子供の気持ちを忘れない人が好きだ。
それは、ピーターパンシンドロームでは決してなく
子供のいたずら心や、暗くなるまで遊びまわっていた人。
だけど、ちゃんと夜になれば闇の恐怖に母親の胸に飛び込むような。
いつまでも、少年の気持ちを忘れない人が好きだ。
女子は決してエロ話が嫌いなわけではない。(多分)
子供が喜ぶNGワードでいつまでも笑い転げられる男子達を
しょうがないなぁ、と見守るのが好きなのだ。

というわけでリリーはずるい。

皆様にリリーが嫌いな人なんていないと思うんだけど
多分、上記の理由だよねぇ?笑

正直、この本には泣きました。
本読んで泣くなんて、ほとんどない。
前に何で泣いたかなんて思い出せないくらいないから
多分、ないんだろう。

それは、大事なお母さんの死、ということはもちろんだけど
リリーとお母さんの、その繋がりの強さに泣かされたのかもしれない。
だから、死ぬシーンだけとっても泣けない。

わたしは九州で育ったから、
リリーの育った九州の町がわかる。
あんな人もいたし、こんな人もいた。
男子の住む世界と女子の住む世界はもちろん違うけれども。
縁があって、小倉や折尾、黒崎、遠賀川にもよく行っていたから
あの空気もわかる。
リリーが通っていた別府の町も知っている。
(リリーが通っていたのは多分、芸短付属緑丘高校…)
そして耳慣れている、方言。
もちろん、時代はだいぶ変わっているけれども
あの町並の持つ雰囲気はあまり変わらないと思う場所たち。

そこで、普通の青春(だと思うんだけど、都会の人にとっては違うのか?)
を送っていたリリー。
お母さんは彼にその「普通の青春」を送らせるために働く。
オカンの、あったかい胸の中で
リリーはずっと守られて育ってきた。大人になってもずっと。

その、リリーが物心ついてから、オカンが死ぬまで。
それは決して短くない物語だけど
私達の心を掴んで離さない。

こんな日々を送ってきた、リリー。
そんな日々を送ってきた、オカン。
そして突然現れてはかき乱す、オトン。
オトンの訳わからなさも秀逸だ。
リリーは結果として父親によく似てると思う。笑

リリーの物語でもあり、
リリーとオカンの物語でもあり、
オカンの物語でもあり
オカンとオトンの物語でもあり、
そしてやっぱり、3人の物語でもある。

新幹線で、西から東京にやってくる。
左手に、東京タワーが見える。
ちょっと胸がどきどきする、そんなかんじ。
東京に住んでいない人間にとって、東京タワーはシンボルだ。
真っ赤な塔。
青空にまっすぐ伸び、
夜空にぴかぴかと赤く光る。
ビルの谷間に埋もれていても。
六本木ヒルズじゃない、お台場のフジテレビでもない、
渋谷のセンター街でも、浅草の風景でもない、皇居でも赤門でもない。
東京タワーだけが、「東京」だ。(アルタという意見も耳にしたが。笑)
それは、幻想の象徴でもある。
田舎の生活を捨て、「都会」での素敵な生活へ飛び込むはずの。
そんな夢や、挫折を、東京タワーはぴかぴかと見守り続ける。

リリーが東京にオカンを引き取ってからの
オカンの姿が素敵だ。
毎日毎日おいしいご飯をたくさん作っては
リリーの家に来る人々に食べさせるオカン。
その中には、リリーに会いにくるのではなく
オカンのごはんを目当てに来る人々もいて。
大好物に「リリーさんのお母さんのごはん」と書くミュージシャンがいて。
そしてその人々の輪の中心はいつもオカンだった。
リリーさんのオカン、ではなく
一人の人間として、オカンは、東京の街に溶け込んでいく。
その暖かさ。


だからオカンが亡くなったとき
悲しんだのはリリーだけじゃなかった。
もっと多くの、たくさんの人間がオカンを慕って泣いた。
オカンはリリーのオカンだけではなく
そのみんなのオカンであったから。

身内の死、というものがわたしにはまだ身近ではない。
だから、祖父が7年前に亡くなったけれど
わたしの中では、まだ消化できてないんじゃないかと思うときもある。
じいちゃんちに行ったら、まだ、奥から出てきそうな気がするし
じいちゃんが死んで以来、町内の盆踊りに行けないくらいだ。
そのくらい慣れてない。
だから、父親や母親、祖母(すげえ元気だが)がいなくなることを
想像できないし、もしそうなったらどうしようと本気で思う。
九州から出て、もう9年経つけど、
まだわたしは親離れできていない、子供とおんなじだ。
盆と正月には必ず帰るし、なんでこんなに実家が遠いのか悩ましいし
それが許されない相手ならそもそも結婚なんて考えられないし。笑

だから、オカンを自分の住む町に引き取ることのできたリリーが
正直うらやましい。

そしてこんなオカンになりたい。

アホなリリー。ダメなリリー。
そういう部分もこの本にはぎっしり詰まっている。
なんやら訳のわからない商売をしながら、借金に逃げ回る日々。
その情けなさの中すら、リリーの心の真ん中にはどん、とオカンがいる。

そんな暖かい話のようで、あちこちにはやっぱりリリー節が炸裂する。
だから「泣かそうとしてんでしょ!」なんて警戒をしないまま
油断して読んでしまって、してやられてしまう。

リリーはそんな乙女心をさらにぎゅっと掴んでしまって。
だからずるいんだよー。
どうすんだよー、こんなに女子を夢中にさせておきながら
またテレビでエロネタ炸裂させるんでしょー?


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