地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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瀬戸内晴美:幻花

幻花 (上)幻花 (上)
瀬戸内 晴美

集英社 1979-06


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幻花 (下)幻花 (下)
瀬戸内 晴美

集英社 1979-06


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迫りくる応仁の乱。政治の混乱をよそに足利8代将軍・義政をめぐり、正室・日野富子、愛妾がおりなす妖しの色と欲と幻の世界…。室町幕府崩壊の一大ドラマを描いた歴史ロマン


室町時代は正直言って詳しくない。
いや、日本史全般キライじゃないんだけどさー、
司馬さんが書いてなかったら、わたしの目に止まらなくって。笑
これはずーっと前にハードカバーで手に入れてたんだけど
最初の数ページは現代から始まるのね。
よくわからないが年齢不詳の美人なご婦人が男を侍らせ云々という
寂聴さんの現代モノの小説にありがちなパターン。
だからしばらく放置してたんだけど
なんだー、読み出したら歴史モノじゃないの!楽しいじゃないの!

作者らしき尼の女性が前述の夫人と風流鑑賞(?)を楽しむ。
月を鑑賞したり、夜のお寺を周ったり。
そんな日々の中、この尼さんは夫人の家で一冊の和綴の古びた本を発見する。
読み進めると、それは、室町時代の日記であった…。

そこからその日記の世界に入る。
主人公の千草は、河原者として育つ。
実際は拾われっ子らしいが、足利家に出入りもする庭師の祖父と兄と
楽しく幸せに暮らしていた。
そこに、急に千草の仕官の話がでてくる。
連れられていった場所で千草は、行儀作法はもちろん、
不思議な手品や予言の術までを学ばされる。
そしてある日、連れられて予言をしにいった相手は
自分とそっくりな顔をした、日野富子という女の子だった。
彼女は言う。
「わたしはこの世の富を全部手に入れられる女になりたいの」
決して欲からでもなく、無邪気に照り輝くような笑顔でそう話す。
「いずれはそれで天下をとってみせるのよ」
そして千種の占いにも、そのような結果がでる。
富子は、やがて足利義政の御台所として迎え入れられる。

と同時に、千草には新たな役割が伝えられる。
某所にもぐりこみ、そこの女主人の行動をスパイしてほしい。
言うことを聞かなかったら、大好きな祖父や兄の命はないぞ、と。
その女主人の名はお今。
今をときめく、義政の愛妾であった。
お今は、千草をかわいがる。千草もやがてお今になつく。
お今と義政の閨はむつまじく、二人は幸せであるようにみえる。
けれど自分のやっていることは、そのお今を裏切ることでは…。
千草の心は揺れる。

やがて、富子が正夫人としてやってくると、
お今対富子の争いが始まる。
大好きなお今。そして自分とそっくりで無邪気に明るい富子。
富子は、千草がお今についているのを知っていながらも
千草を気に入って離さない。

富子の流産、日野家の讒言に踊らされた義政はついにお今を追い出す。
そして追い出されたお今に迫ってくる日野家の刺客。
千草はお今を救い出そうとするが、お今は義政の愛情を信じて動かない。
お今の書いた手紙を千草は義政のもとへ運ぶが
義政は見ようとしない。
やがて、お今のもとに追っ手がやってくる。
お今は殺されるより、自決を選び、自ら腹を刺して千草の目の前で果てた…。

というのが前半。ふー、濃いよう。

後半は、千草は異母兄弟の兄と恋愛、結婚。
お今を失った義政は、心の空白を埋めるためか
ますます風流に心が傾いていく。
次々と行う造園。そしてそれに借り出される祖父と夫(兄)。
それは、施工主である義政と職人である祖父との一騎打ちのような
激しい戦いの場だ。
しかし、そのために税はとどまることを知らず徴収され
民は疲弊する。飢えて死ぬ者達が河原に積み上げられる。
疫病の流行。そして干ばつ。天変地異。

そんな中、千草は河原者だった頃に自分をかわいがってくれた
盲目の「おしん」という女性と再会する。
おしんさんは、一人の男を想いながら、旅を続けていた。
その男の名は一休。
破壊坊主として有名だった一休は、お酒を飲み、女を抱く。
そしてふらふらとあてもなくさまよっていた。
けれど、その中に深い哀れみの気持ちと愛情をたっぷり持った男だった…。
とりあえず酒臭いのはゴメンだが、
ものすごくいい男!というかんじ。
抱かれなくていいけど笑、お話伺いたい!

ということでキリがないのでやめますが、笑
寂聴さんはこの手の話がすっごいうまいんだよなぁー。
「煩悩夢幻」や「とはずがたり」「中世炎上」なんかもすごく良いのよ。

お今は愛情を求め続け、
富子は権力を求め続けた。
そしてそれに疲れ果てた義政は、自分の楽園を作ることに躍起になった。
そのせいで、世の中は荒れていくけれど、
千草やおしんさんのような庶民は
次々と周りの人間が死んでいっても、一杯の粥で踊り
自分の好きな人と幸せに、そして逞しく生き続ける。

この話、どこまで史実に基づいてるのかはわからない。
千草という女は存在してなかったと思うけど
千草の祖父や、兄というのは義政付の造園者として名が残っている。
おしんさんも、一休の最期を看取ったものとして残っている。
富子は歴史に悪女という名で残っているけれど
この小説の中に出てくる富子は、才気煥発で活き活きとした
かわいらしい(我は強いが)女の子だ。

女の司馬遼太郎、と言っても過言じゃないほど
虚構と現実をうまく織り交ぜながら、歴史物語を見せてくれる。
もっと書いて欲しいなぁ。
意外と少ないんだよなぁ。歴史絵巻のようなこういう小説。

ちなみにハードカヴァーの表紙デザインは横尾忠則。
仏像や胎児や手のひらやお経が書かれてて…激しく濃厚である。笑


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瀬戸内寂聴(晴美) | permalink | comments(6) | trackbacks(0)

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この記事に対するコメント

司馬さんの作品では、「妖怪」と「花の館」
が、室町時代を描いていたと思います。
唐天子 | 2006/01/16 7:05 AM
唐天子さん

おう、「妖怪」はうちにあるなぁ。
雰囲気的に手にとってない気がする。笑
「花の館」は短編ですか?
よーし、今年中に司馬遼太郎読み直すぞ
うたぎく | 2006/01/16 10:24 PM
ご無沙汰しております。

読んで終了、はい次の本、じゃなくて、こうして書き残すって、すごいよな…としみじみ思ってます。

ところでちぃまま姐さんはお元気?お懐かしい。京都行きたいんだが、なぜか西へ行く度もう少し先まで行っちゃう私…

寂聴さんの本って、読んだことなくて、昨年の宮沢嬢演じるドラマを観て、そのキャラクターの濃さにたまげてます。エネルギー強い人だな、と。

あのドラマに触発されて、何か読もうかなと思ったところに、このレビュー。

やっぱり濃い。濃すぎて私読んだらすごく体力なくなりそう…(汗)

では、今年もたくさんのレビュー、待ってます。
ぷうぴい | 2006/01/18 11:30 AM
■ぷぴさん

お久しゅう★
読んだ本はちっとも書けてませんよー。
書くのが追いつかないもの。
で、忘れる→また読み直す…時間無駄。(ノД`)・゚・

「女の一代記」人気だなぁ〜
宮沢りえは、ありゃあ小悪魔だよ。笑
寂聴さんは、歴史モノの方が読みやすいです。
現代モノは胸焼けがします。

うたち | 2006/01/18 10:57 PM
ご無沙汰ですわん。

寂聴さんの本を読みたいのだけど、昨年末から京極堂に手を出してしまって…でも小忙しくなり読み終わらず…他の本に手を出せない日々です。


私は読んだ本片っ端から忘れる…だからシリーズモノは出そろってから読まないと、前のを忘れて大変です(汗)

私も「女の一代記」観たわ〜。良かったわ。宮沢だと少し線が細すぎる気もしたのだが!?どう???

ぷぴさん「女人源氏物語」だと、話は知っているので、読みやすいと思うです。
ぼん。 | 2006/01/20 1:57 AM
ぼーんちゃーん★

ご無沙汰です。

京極堂読んでるのね??
どこまで読んだ?どう??←前のめり
あのねー、一気に読んだほうがいいよ。
前の本に出てきた人が何冊かあとに
出てきたりするから。
記憶が薄れないうちに。笑

女の一代記は、最後の米倉のが一番おもしろいと思ったよ。
寂聴さん…尼さんなのに…
「最高の純愛は不倫です!」ってあんた。
しかも聞いてるおばさんたち大爆笑って構図がなんかすげえ。

うたちゅ | 2006/01/20 5:53 PM
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