地味な女子の読書とか映画とか。

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三島由紀夫:獣の戯れ

獣の戯れ獣の戯れ
三島 由紀夫

新潮社 1966-07

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西洋陶器店でアルバイトをする大学生の幸二は、店主の逸平から、決して嫉妬しない妻の優子を嫉妬させるために情事に忙しい、と打ち明けられる。その時以来、優子に同情し、愛するようになった幸二は、夫婦間の失われた愛の復活を願って、優子を逸平の浮気現場に連れていくが……
。<死>への共感と信頼によって結び付けられた三人の男女が構築した<愛>の共同体。


不自然の中の自然。
最初の方はついていけなかった。
スマートな遊び人で、やることは全部やりつくすように年齢を重ねていく逸平。
その下で何故か逸平に気に入られて働いている幸二。
女遊びを繰り返す逸平に対して決して嫉妬をみせない優子。

でも優子は嫉妬を厚い感情の壁に押し込めていただけだった。
逸平の浮気現場に連れていく幸二。
そこで露わになった、見たくなかった逸平の姿。
見たくなかった優子の姿。
気がつけば幸二は、昼間に拾ったスパナで逸平の頭を殴っていた。

傷害罪での服役を終えて、刑務所から出てきた幸二を出迎えた優子。
二人は、夏の小島にやってくる。
そこで待つ、脳に障害を残した逸平の姿はかつてのダンディな逸平の姿ではなかった。
よろよろと歩き、言語は明瞭でない。
こちらの言っていることが伝わっているのかもわからない。

そのくらいからだんだん面白くなっていく。
幸二の感情の苛立ちが、ちょっとサスペンスな匂い。
そして奇妙な三人暮らし。
この奇妙な空気感とは別に、島の人々の暮らしは夏の空気の中で
のどかに進んでいく。
島の青年達、若い女たち。港の男たち。
優子が営む、温室の空気。セミの声。汗の匂い。
三人での散歩。滝の水音。摘み取られた、一輪の花。

「俺はいつも思うんだ。俺の人生はひょっとすると、この人のためだけにあるんじゃないのかって」
「そうだわ。あなたはそれで行くべきよ。幸ちゃん。私もそれで行くわ。今更途中で引き返すわけにも行きませんもの」

島の日常から静かに浮いていく、奇妙な3人。
3人だけの小説ならここまで思わなかったかもしれないけれど
島の人々のエピソードが入ってくるから面白い。
開かれているようで、密閉された空間で
そこには誰一人入ることはできないの。

なんとなくねぇ、吉田修一の初期の作品の雰囲気っぽい。
ミシマの小説でここまで匂いだってくる小説って珍しいなぁと思いましたの。


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三島由紀夫 | permalink | comments(8) | trackbacks(0)

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この記事に対するコメント

三島小説って、どこか「異常」な側面を含んでいるよなぁ。「金閣寺」なんかはその代表でしょ。
もちろん小説だから、意図的につくられたものだろうけど、意外と三島本人の人格にもそういう側面があるんじゃないかな?
三島の最後に、その側面の一部が表れているような気がしてね。


追伸:某PR代理店から、書評を書いてくれないかっていうメールこなかったかい?
デミアン | 2006/01/28 9:35 PM
うん。異常というか
考えを煮詰めすぎて発狂、みたいな…
自意識過剰なんだよね、基本的にみんな。

>追伸

へえ!すごいじゃーん。
うち来てないもの。
って、メアド公開してねー。笑
うたぎく | 2006/01/29 8:44 PM
コバワ☆

>自意識過剰なんだよね
やっぱりそう思うか(-_-;)
三島自身にも何かを感じるんだよ。何かを・・・。

>へえ!すごいじゃーん
いや。ブログブームに便乗しようと考えている出版社はけっこうあるよ。
なんか月一ペースでいろいろ来るもの。こっちは趣味でやっているだけなんだから、ちょっと迷惑に感じることもある。
今回のは、全米NO.1になった歴史小説の翻訳版について書評を書いてくれって話。来週中に発売のお知らせがあるとか。
んで、何日に東京に来れますか?っていうから、「秋田なので行けません」と返信したら、「住所を教えていただければ、本を送ります」だって。だったら最初からそう言えよ、って思ったよ。
話によると、上下2冊で、1冊当たり500ページもあるってゆうから大変なものだ。1000ページもの大作の書評をヲイラに書けっていうのか!?
引き受けたらマジに大変だよ、きっと。
どうせノーギャラなんだろうけど、はたして引き受けていいものかと思ってさ。
現金がからんでくれば燃えるのに!
デミアン | 2006/01/29 11:51 PM
ええっ!ノーギャラなの?
本はくれるの??
書いたら有名になりますよ、とかそんなんかなぁ?
メル来たことないからようわからんのやけど。
でも、読む本指定されるのってなんかつらいよう。
うたぎく | 2006/01/30 4:44 PM
本はくれるけどノーギャラらしい(-_-;)

>書いたら有名になりますよ、とかそんなんかなぁ?
そういうことです。

>読む本指定されるのってなんかつらいよう
そうなんだよねー。書評の依頼をされる場合は、ほぼ例外なく指定されます。
出版社は、ある本の宣伝が目的だから仕方ないところだけどね。
でも、金にならないうえに、おそらく依頼は今回の一回だけだと思う。悪くいえば出版社に利用されるということ。

それにしても、どういう基準で人選をしているのか疑問だ。歴史小説の書評を頼むと言われても、僕のブログではカテ違いのような気がするんだよ。
デミアン | 2006/01/30 10:20 PM
それって「ヒルトリカル」って本?

書評って言われても、褒めないといけないっぽいねぇ。
宣伝に使われるってことはさ。
それがめんどくさいよう。
依頼をうけたはいいけど、おもんなかったら切ないじゃん?

>歴史小説の書評を頼むと言われても、僕のブログではカテ違いのような気がするんだよ

確かに。
新書系だもんねぇ。新書だったらできそうだけど。
そう考えると手当たり次第なのかな?
ランキングとかブログ本から探して送ってるのかしら…。
うたぎく | 2006/01/31 6:21 PM
こんばんは☆

先程、メールが来まして、本の題名がわかり
ました。「ヒストリアン」という小説だそう
です。

詳細はコチラ→http://www.nhk-book.co.jp/historian/index.html


うたさんが書いた「ヒルトリカル」って、も
しかして同じ本のことかな?
デミアン | 2006/02/03 9:37 PM
おう。そうそう。
ヒストリしか合ってねえし。苦笑

NHKのテキストに広告載ってたなぁと。
でも歴史小説じゃないみたいだねぇ。
なんかちょっと広告の写真が怖いよ。
でもおもしろそう?期日までには読めないだろうけど…
うたぎく | 2006/02/03 11:12 PM
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