地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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中島みすず:初恋

初恋初恋
中原 みすず

リトルモア 2002-02

おすすめ平均

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私は「府中三億円強奪事件」の実行犯だと思う。だと思う、というのは、私にもその意志があったかどうか定かではないからだ。雷雨の朝、白いオートバイ、18歳の少女…。「三億円事件」の秘密の扉がいま静かに開かれる。
この小説の舞台になった1968年という時代をわたしは知らない。
三億円事件も知らない。
だから夜な夜な、新宿の喫茶店に集い、
長髪を掻き揚げ、タバコをふかし、安酒を飲んで
ジャズ談義に花をさかせ、
学園紛争に青春を捧げる人々の空気に最初はなじめなかった。

初めの方から続く、仲間内のトーク。
そこから岸がみすずだけに声をかけ、事件の計画を打ち明ける。
母親に捨てられ、血縁の家を転々とするみすずは
必要とされることに小さな喜びを見出す。

その部分から、実際の犯行が終るまでは
別にそこまで面白いと思わなかった。
でも、これ、事件終ってもまだ本の半分もいってないわけだ。

そしてここから物語はがぜん面白くなってくる。
決して盛り上がるわけではなく
小さな、静かな恋。
二人にとって、日本を揺るがした大事件の犯行はきっかけでしかなかった。
二人がちょっとだけ近づくための。

ここから恋が芽生えてめでたしめでたし、でもないところが面白いなぁ。
物語の大半は、岸とみすず、ふたりっきりの物語だから
他の喫茶店で集ってた面々いらないじゃん?と思ったけれど
最後の最後で、彼らの姿が時代を象徴する。
1968年、その瞬間ではなく、
その何年も後に。それが一つの時代なんだなぁと思う。

徹底して淡々とした物語。
そこに挟まれるたくさんのエピソードはひとつひとつ、
あれ、あの話どうなったんや?とかそういう展開はないだろとか
そんなこと前言ってたか?とか思うとこもあるけどw
日常はどんどんと流れ行くものだし
完全に主観で、自分と彼の世界だけであるなら
それはそれでアリなのかもなぁと思いましたよ。

好きになったら、過去の時間全てがかけがえのないものになる。
犯行現場への道を覚えるための運転練習も
そこで交わされたたくさんの会話も。
犯行の最中、いつも助手席にいた彼の姿が本番ではいないことで
急に不安に陥ったり、
無事、終えて帰ってきたときに迎えてくれた彼の姿だったり。
その後、何もなかったかのように旅行に出かけたり、
受験があったり。部屋を探したり。

自分がやりました、みたいな書き方をしていて
(主人公の名と作者名が同じだし)
色々調べて書いてたりして、うまいことやるねぇと思う。
ほんまやったらおもしろいよなぁ。
事件自体はもう時効を迎えてるわけだし。
「初恋」なんてタイトルがやらしくていいなあ。

これ、映画化、宮崎あおいのポスターの顔がいいよねぇ。
淡々とした映画だったらいいよなぁ。
モノクロだったらなおいいなぁ。
変に時代背景の当時の画像(全共闘とかさ)をいれないで欲しいなぁ〜
カネをかける必要はないからちゃちくなければいいなぁ・・・
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