地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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夏伊:雲上的少女

雲上的少女雲上的少女
夏 伊 桑島 道夫

文藝春秋 2006-06


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名門中学校に通う少女、若〓(ルオシン)。静かな夜とモーツァルトを愛し、海外に住まう両親と離れて北京に一人で暮らす彼女が、同じように夜を愛する物静かな同級生、〓〓(カイフォン)と恋に落ちた…。季節がめぐってゆくなかで、揺れ動き、移ろいゆくその心を繊細に綴り、中国の若者たちを酔わせたベストセラー純愛小説。


「愛情とは何なのか。異なる年齢の人には異なる答えがあるだろう。愛情には確かな定義がない。なぜならそれは、たとえば物理の法則のように永久不変ではありえないから。
 あの頃の私にとって、愛とは刹那の感覚にすぎなかったのかもしれない。長い人生の中では」


久しぶりに良い小説を読んだ気持ちになれました。
「それはまだ寒い初春」から始まり、
「日差しの燦燦と降り注ぐ、あの雲の上のような日々」で終わるこの小説を
もー、そわそわうきうきしながら読んだよ。

かわいいー。
そのかわいさは、まだ垢抜けない女子中学生を見ているような。
その年頃であれば、コギャル(死語?)に憧れていても
年喰ってからは、化粧っけのない女子高生の方に萌えたり。
金髪ロンゲの兄ちゃんと付き合いながらも斉藤投手(早実)にキュンとしたり(時事)
だんだん例えが迷走しはじめたがそういうかんじだ。(どういうかんじだ)

お話は、少女マンガのよう。
ルオシンという主人公の少女のクラスに転校生がやってくる。
美しく、ピアノが上手な少年、カイフォンだ。
カイフォンに一目惚れするルオシン。
二人は急速に接近し始め、やがてカイフォンがルオシンに交際を申し込む。
カイフォンの弾くピアノで、受験勉強をするルオシン。
やがて、受験が終わり、ルオシンは名門高校に進学が決まるが
カイフォンはイギリスに移住することが決まっていた。
高校生になり、手紙や電話やメールや・・・で愛を育み続ける二人。
高校生になって、ルオシンに出来た親友ハンちゃん。
新しい生活に、時に二人の距離は離れそうになる。
でも、カイフォンが突然、イギリスを飛び出してルオシンに会いにきたり、
高校生のくせに何故か世界を股にかけた大恋愛である。
ハンちゃんが恋した相手はバスケ部のさわやかな少年、シーウェイ。
シーウェイの色んなことを調べ上げることはできても
ハンちゃんは彼に声すらかけることができない。
そんなうちに、シーウェイはハンちゃんではなくルオシンに愛を告白する。
ルオシンを中心にした二つの三角関係。
歯車はルオシンの奮闘をよそにあらぬ方向に転がってばかりで
まさに喧嘩をやめて!ふたりを止めて!

・・・。
少女マンガと言っても、あの最近の性の乱れた少女マンガではなくてですね
(あんまり知らないけどさ)
むかーしの「りぼん」でやってた少女マンガのよう。
「星の瞳のシルエット」とかさぁ・・・

だけどマンガっぽくならないのは、
文章が硬質なのと、比喩に現れる育ちのよさや教養のおかげなんだろうなぁ。
毎朝、モーツァアルトを聞きながら目覚め、
でも、ジェイ・チョウも聞けば、ブリトニーやマリリン・マンソン(発禁にならんのか)も
聞く。
で、真面目なんだなぁと思う。
だぁって、カイフォンがイギリスから飛び出してきたときなんて
ほとんど同棲状態だったのに、キスすらまともにしてないんだよ!!!絶叫
まぁ、高校生なんですけどね。
で、カイフォンやシーウェイのルオシンに対する振る舞いときたら。
あんたらほんまに10代?というくらいの素敵さである。
あんなロマンチックなセリフを上手にいえませんよ。普通。
セックス抜き・・・というかなんたるかを知らない(?)子供達の交際は
言葉や行動だけで全てを表現するから、ひとつひとつが切実でええなぁと思う。

ま、どこまでが現代中国の男女交際なのかはわからないれど
(この小説を書いた作家自体が当時16歳だったわけだから、憧れを書いたのかもしれんし)
それでも中国の都会の上流階級(?)の子女の暮らしがよくわかるなぁ。
クリスマスディナーをレストランでして、ワイン飲んで酔っ払うとか。
缶ビールを何本も飲んで公園に転がってるとか・・・
シーウェイのお母さんの振る舞いや、学校の先生達の発言なんかは
「うわー、中国っぽいなー」と思うし。
家にこもってDVDばっかり見て、そのDVDのなかに「リリイ・シュシュのすべて」が入っていたり。
空港まで子供達だけでタクシー飛ばしていくとか。
それでいて、同級生の男子を品定めしたり、
好きになっても調べるだけで話しかけることすらできない
ハンちゃんの姿や、カイフォンと付き合い始めたばかりのルオシンが
雑誌の星占いでつい彼氏の星座も読んだりする姿は、懐かしい気持ちになる。

とっても濃い、青春の日々。
笑ったり泣いたり、勉強したり洋楽を聴いて飛び跳ねたり。
夜中の電話や、バスケのボールの音。受験。
全てを通り過ぎた今、この本を読むともう一度あの時間を過ごしたいと思うし、
それは多分、日本でも中国でも、アメリカでもフランスでも変わらないんだろうなぁ
(いや、アジアと欧米だと違う気がするか)

この訳者の人、「上海ベイビー」を訳した人なんだけど
ほんとに上手だなぁと思う。簡潔で、感覚に走らずに、わたし好み。男の人だからかなぁ他にまた出ないかにゃ。
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この記事に対するコメント

私も最近読みました。訳いいですよねー。
リリィ・シュシュのすべて を16歳であそこまで言葉にできるってすごい!と思いました。
アキ | 2012/01/09 12:06 AM
読みました。まず、ルオシンという名前の響きがいい。
モーツァルトもショパンも恋愛も勉強も、感性豊かな16歳の女性ならではの表現なのかなあと、心が洗われるようです。
jun | 2012/01/16 8:42 AM
>アキサマ

中国語の原本を本屋で探しても見つからないので、作者がどのような書き方をしているのか確認できないんですが、それでも、彼の翻訳は素晴らしいと思います。
様々な表現を尽くして綿密に文章を組み立てる、頭の良くて言語感覚の鋭い女の子の文章の翻訳をさせると彼は秀逸。このタイトルも、よく出来てると思う。
そして、映画や音楽について、言葉で表現できることがすごいというかうらやましいというか…。

>junさん

おお、読まれましたか!

こないだ一時帰国したときに持って帰ってくれば良かったなー。
またじっくりと読みたいです。
そして心を洗って出直してきたいです…。
うたぎく | 2012/01/30 10:42 PM
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