地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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花村萬月:真夜中の犬

真夜中の犬真夜中の犬
花村 萬月

光文社 1997-06

おすすめ平均

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深夜2時、渋谷。少年院から出たばかりの貢は、北勢会のチンピラを蹴り上げていた。そこへ止めに入った美少女・マキから、元警察官“狛犬”を紹介される。貢は、社会からはみでた「ドロップ・アウト」たちの共同体に魅せられていく。だが、その狛犬を執拗に狙う北勢会・村内がいた…。セックスと暴力を通じて、人間の愛憎劇を描いた、花村ワールドの切ない愛情物語。

基本がやっぱり泣けるなぁ(つд`)
萬月さんの基本中の基本と言っていい雛形のようなストーリー。
普段は大人しいけど、暴力衝動が時に暴発する少年貢。
それに目をつけてかわいがる「狛犬」と呼ばれる神宮寺。
神宮寺は元刑事で今はヤクザのようなものだ。
それから、彼を慕っている売春をする少女、由美子とマキ。
それから障害を持った狛犬の娘、幸子。

彼らは、廃墟のようなクローズした店舗に暮らし
来るべき日に備えている。
それは、狛犬を目の仇にしている北勢会の村内との戦。
彼らは一台の車で旅に出る。
旅の中で貢は、狛犬からたくさんの教えを受け
感受性がどんどんと鋭くなっていく。
それを更にかわいがる狛犬。
母親のようにかいがいしい由美子と
蓮っ葉なマキ。
人が思わず目を留め、やがてそらす・・そんな対象である幸子は
よだれをたらしながら、貢になついていく。

血の繋がらない、出会った大人と少年と、時には少女も一緒の旅。
小さな車内の中で生まれる、家族のような何者にも変えられない情。
「眠り猫」や「なで肩の狐」なんかで繰り返されるように書かれた世界。
少年は大人から、知恵と考え方を教えられる。
それは、時に極論であったり、多分、平均的な?社会人として
身に着けてしまったら生きにくいであろう考え方だ。
だけど彼らは決して、ネクタイを締めて満員電車に乗るような生活には
縁もないし、選ぶこともないだろう。
1人で、身を晒して生きていくための教えだ。
一種、ストイックですらある考え方。
ここでいちいちあげてたらきりないし、
まぁここまでわたしが萬月さんの本について書いてたら
1冊くらいは読んでくれてるでしょうしw
そうであれば、どの本を読んでも繰り返し書かれていることはわかるでしょう。
(日本語がおかしい)

だけど、こういった大人の萬月学校?の生徒である少年達は
ほとんどが死んでいく。
主人公である少年が、最後に死ぬか生きるか。
それは物語の舞台にもよるんだけど。
最後に作者が少年達を殺してしまうのは何故だろう。
多くの物事を見すぎて、考えすぎた少年達の
大人になる姿が想像できないからかなぁ。
(「幸荘」の主人公なんか、その点お気楽でよい)

ぱっと読み、貢が主人公なんだけど
結局最後は狛犬と幸子に泣かされる。
男女の愛じゃなくて。
だけど行き場のない愛情が、場所を求めてさまよっているかんじが痛々しい。
それは、東北の山奥の星だらけの夜空や
草や木々の匂いや
火薬の匂いや、急ブレーキの音や、爆風や、体温や
車内のたわいない会話の記憶をまとって、彼らから離れないんだろうから。
五感の記憶って怖いよねぇ。
それが自然を纏っていると余計に・・・
花村萬月 | permalink | comments(1) | trackbacks(0)

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