地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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花村萬月:夜を撃つ

夜を撃つ夜を撃つ
花村 萬月

角川書店 2003-06

おすすめ平均

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少年の名は峰岸情、十七歳。彼にとってトルエン、窃盗、暴行は日常茶飯事。屈託のない笑顔で他人を嬲り、憑かれたように深夜の暴走を繰り返していた。ある夜、警察の追跡からの逃走中に、自らが助かるために仲間の命を犠牲にしてしまう。情は遣りきれない思いを抱え、女子高生・藍子とともに逃避行を始めるが…。彼を追跡するふたりの元警官。逃亡の日々の中で、情と藍子が辿り着いた場所とは?愛と孤独、鬱屈と狂気。制御不能な思いが絡み合う、激情と本能の物語。


そうそうそう!この本だ!
そのシーンが出た瞬間に思い出した。
萬月さんが「トラウマ」を描いた小説で
わたしもトラウマを背負いました・・・

トラウマ、というには大げさだし、
別に実際に何があったわけでもないけれど。
この本から得た知識の1つが時々わたしをぞくりとさせる。
「過レーシング」
普段聞く言葉じゃない。

主人公の少年、情は仲間を殺し、藍子の家に転がりこむ。
藍子の家は、お父さんは北海道で単身赴任。
保険の外交員のお母さんと藍子の2人暮らしだ。
情は、藍子のお母さんに甘えかかる。そして、お母さんとも関係してしまう。
そして、情は決意する。
藍子の父親を殺してしまおう。
藍子も藍子の母親も父親なんかいらないみたいだ。
だから処分(?)してしまえば、彼女達に保険金も入ってくる。
これは良いことなんじゃないか?

で、藍子と二人、バイクに乗って北海道へ行く。
藍子と二人で、父親を殺害する。
その殺害の方法がこの「過レーシング」だったんだよねぇ。
泥酔+睡眠薬で意識を失った父親を車に乗せ、エンジンをかける。
パーキング+サイドブレーキのまま、足をアクセルに乗せておく。
そうするとアクセルは回転しっぱなしだけど、車は動かない。
アクセルはどんどん回転数をあげ、熱を帯びてきて
ある瞬間、発火する。
で、瞬く間にガソリンに引火して、車はどかーん!となるわけです。
アクセルがヒートアップしてても、車内は熱くならない。
だから、寝てしまっていたら気がつかないんですよ。
これを読んでからというもの、
「車で寝る=死んでしまう!」とアホな頭は単純に思い込んでしまって、ねぇ。
まー、アイドリングしてたりアクセル踏んでなきゃ大丈夫なんだけど。
みんな知ってんの?こういうこと。
殺人手段、ということではなく、普通に事故としてよくあるらしいよ・・・?

物語としては、これは頭のほうで、
引き続き情と藍子は旅を続ける。
そして、情を追う、二人の警官。御厨と千葉。
二人を追いながらもやがて二人は別の道へ進んでいく。
御厨は彼女を捨て、情の母親に溺れていく。
千葉はそんな彼女を知ることによって、自分の中のどす黒い感情に気づいていく。

情は美少年で、悪魔のように頭が良い。
だけど、母親からの虐待によって
極度のマザコンで、時に激しくマゾになる。
こういうふうになったら、こういう終わり方になるんだろうなぁやっぱり。
でも最後、なんで情がそうなるのかがわからないんだ。
2ページ前までは意識がちゃんとあったのに。
それまで育つ間、ずーっと握り締めていたある種の緊張感が
完全に達成されてしまうと虚脱してしまうんだろうか。
それが本当のトラウマなら、
トラウマを持つ人はほんまに救われないよなぁ。
でも、そこまで追いやった母親のキャラがいまいち掴めなかったんだけどね・・・

そんな情に夢中になっていた藍子が
やがて情から気持ちが離れていくのが切ない。
切ないけど、情に惚れるのが10代の恋心なら
千葉に惹かれるのが20代後半な気持ちなんだろう。
たった数ヶ月でそこまで心が動いてしまう藍子もある意味不幸なのかな・・・
でも、女力レベルはすごく上がったんだろうなー、と思ってたんだけども。
最後の2ページのエピローグで、妙にがっかりしてしまうんだ、この本。
情はダメになっちゃったのに、図らずもみんな幸せになっちゃうかんじじゃん。

とにかく、皆様。
車で寝るときには気をつけましょうー。
花村萬月 | permalink | comments(0) | trackbacks(0)

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