地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
<< December 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | permalink | - | -
<< 「性感都市 sex and beauties」 | main | 「北京ヴァイオリン」 >>

花村萬月:二進法の犬

二進法の犬二進法の犬
花村 萬月

光文社 2002-02

おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


家庭教師・鷲津兵輔が、生徒として引き受けることになった女子高生の倫子。彼女の父は、武闘派乾組組長・乾十郎だった。鷲津は、乾組という組織、十郎の「白か黒か」を徹底する生き様、そして倫子の凛とした存在に、次第に自分の所在を見いだしていく。博打、抗争、性愛…激流のなか、鷲津が手にしたものは―!全てのひとが心に抱える深い闇を重厚に切なく描く傑作巨編。


「思い出は」
「思い出は?」
「体を使って刻みこまないと、ほとんど残らないものなんだ」
「思い出は体を使って刻み込まないと残らない」
「そう。体を使って刻み込みこめば、記憶は薄れても、細胞が覚えている。たとえ歳をとって呆けても、この京の日々だけはくっきりと思い出すことができるはずだ。だから俺は自分を酷使して倫子くんを抱きしめ、一晩眠っても脹脛のだるさが抜けないことを祈って倫子くんを引き回し、歩く」
これでもか!というくらい萬月さんエッセンスがぎっちり詰まった本。
ヤクザの世界、京都の町、そしてオタク入ってるようなパソコン知識。
そして最後に残るあったかくいびつな絆。
京極堂並みの分厚い本だから、読み終わったあとにずっしりくる。
だけど読後感はなんとなくさわかやかだ。

奥様相手なんかのパソコンの個人教授をしながら
ただなんとなく日々を過ごしていた鷲津。
そして、ヤクザの娘として周りからなんとなく距離を置かれながらも
その中心に君臨する日々に退屈を覚えた倫子。
ふたりは、ショッピングセンターの掲示板の
「家庭教師募集」というチラシによって出会う。

倫子に勉強を教え、その父親である乾十郎にはパソコンを教える日々。
初めて足を踏み入れるヤクザの世界に鷲津は動揺を隠し切れないけれど
自分の得意な話に関してはイキイキと喋ることができる。
鷲津はだんだん乾組の中になじんでいく。
倫子との恋。博徒の打つ博打の世界。それに伴う抗争。
そしてやっぱりいびつな、血の繋がらない家族愛。

萬月さんの本ではヤクザはよく出てくるけれど
博打のシーンはあんまりないのね。
だから、この本に出てくるシマ荒らしの賭博所で行われる試合(?)のシーンは
本当に手に汗握るかんじ。まったくルール知らなくても。
次の出るサイコロの目に鷲津と一緒に息を呑むような。

鷲津はほんまに情けない男だ。ヒーローでは決してない。
定職にもつかず、安アパートで適当に女の相手したりするし
すぐおしっこ漏らしそうになるしw
暴走しちゃうし。
つい、自分かわいさに、保身に走ろうとしちゃうし。
なんか情けなくて、なぜみんながそんなに鷲津に夢中に(?)なるのかわからないけれど。
だけど、自分の考えを言葉にして、他人に押し付けがましくなく伝える才能に
長けているのかもしれないなぁ。
あと、人に警戒心を持たせないところも。
乾組で飼っている獰猛な犬達も鷲津にはなついてしまう。
これがベタ・・・じゃなかったw不思議だよねぇ。
それにしても萬月さんの本を読むと、人と話すことって大事だなぁと思う。
もちろん、インプットがあってそれを自分の中で自分のモノにした上での
アウトプットである会話。
ちゃんとテーマがある会話。
そういう話、してますか?わたしはしてませんww

また物語では珍しく(?)ヒロインが途中である事情でいなくなってしまう。
だけど、鷲津や乾十郎の日々は続いていく。
最後の方のシーンはヤクザものらしくかなりえげつないんだけども。
あわせて鷲津のキャラクターもどんどんと変化していくような気がする。
最初の頃の空虚なかんじ、真ん中あたりの情けないかんじ、
最後のほうは、まっすぐなかんじ。
乾や、後に乾の妻になる李や、乾の大事な子分の中島。
彼らとともに鷲津は生きていく。
それこそ冒頭のセリフのように、毎日からだを使って。
愛情も暴力も、悲しみも、団欒も。

冒頭のセリフがある、京都旅行のシーンもとてもいい。
同じコースを歩きたくなるんだよねぇ。
谷崎潤一郎の墓とか。
京都大学で勉強したくなる。
魅力的なシーンだ。
二人は京都の町をひたすら歩き回る。
歩き回りながら、鷲津は倫子に知っている限りの知識を話す。
そして、毎日毎晩、今日がこの世の終わりのように抱き合うのだ。



花村萬月 | permalink | comments(3) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

- | permalink | - | -

この記事に対するコメント

うたぎくさん、ご無沙汰しております。hayateでございます。この本のタイトルと内容が面白いですね。京都が出てくるということで、なんだかムショウに読みたくなりました。「得意分野でイキイキ、それ以外ではモゴモゴ」っていうのはよくありますよね〜。

うたぎくさんのブログから、僕のブログに来ていただく方がいらっしゃいます(アクセスログでわかります)。ありがとうございます。

hayate | 2007/02/04 11:10 AM
hayateさん

わぁぁ、お久しぶりです★コメントありがとうございますー。

この本のタイトルは、二進法、つまり1と0の世界。で、パソコンに詳しい鷲津。すぐ白黒はっきりさせるヤクザな世界・・・みたいなかんじです。

萬月さんの本はよく京都が出てきます。
で、結構細かい描写が多いです。
何々通りの角を南へ下がり〜とか
○○系統の市バスに乗って・・・なんて書いてあるとぐっときます笑
大体百万遍近辺が多いんですけどね。
あと岡崎とか。
うたぎく | 2007/02/04 11:01 PM
http://www.salomonspeedcross3.us.com/ salomon shoes
http://www.pandora-jewelrysale.us.com/ pandora
http://www.lebron15-shoes.us.com/ nike lebron
http://www.fitflopsshoes.us.com/ fitflop shoes
http://www.nikeairvapormaxflyknit.us.com/ nike air vapormax flyknit
http://www.airmax90shoes.us.com/ air max
http://www.adidasyeezy-350.us.com/ adidas boost
http://www.louboutinredbottoms.us.com/ louboutin heels
http://www.adidasnmdrunnerr1.us.com/ yeezy boost 350
http://www.katespadepurses.us.com/ kate spade sale
http://www.birkenstocksandalssale.us.com/ birkenstock clearance
http://www.pandorajewelryscharms.us.com/ pandora jewelry
http://www.adidas-ultraboost.us.com/ ultra boost black
http://www.hermesbirkin-handbags.us.com/ hermes handbags
http://www.jordans11shoes.us.com/ jordan 6
http://www.jordan11spacejams.us.com/ jordan 11
http://www.kyrie-4.us.com/ kevin durant shoes
http://www.kd10-shoes.us.com/ kd 5
http://www.pumafentyrihannashoes.us.com/ puma suede
http://www.yeezyboost350shoes.us.com/ yeezy v2
http://www.nikeairmax-90.us.com/ air max 95
http://www.fitflops-sale.us.com/ fitflop shoes
http://www.pandorajewelryrings.us.com/ pandora bracelet
http://www.longchampbag.us.com/ longchamp backpack
http://www.curry4-shoes.us.com/ under armour stephen curry boys
ドリフトliuyuzhen
longchamp bag | 2018/05/20 9:55 PM
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://utagiku.jugem.cc/trackback/483
この記事に対するトラックバック
BlogPeople
■古本市場■