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宮部みゆき:蒲生邸事件

蒲生邸事件蒲生邸事件
宮部 みゆき

文藝春秋 2000-10

おすすめ平均

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予備校受験のために上京した受験生・孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男に救助されたが、そこはなんと昭和十一年。雪降りしきる帝都・東京では、いままさに二・二六事件が起きようとしていた―。大胆な着想で挑んだ著者会心の日本SF大賞受賞長篇。



かーっ
うまいなぁ(つд`)
わたしは宮部みゆきの本は買ったことがない。
だけどあったら嬉々として読む。(大抵おかんの本)
そして毎回感心する。
「ベストセラー作家の本なんか読まない!」なんて人はさておき
この人の本を嫌いな人っていないんじゃないだろうか。
クセのない文章。
何を舞台にしても突っ込みどころを許さないような細かい設定。
そして、日本人の大好きな恋と友情も散りばめられて
最後までどきどきさせてくれる。
シドニイ・シェルダン(こないだ亡くなったなぁ)も
タイプが違うので単純に並べられないけど、こんなかんじ、というか。
もはや国民的作家であり、しかも多作である。なんだこの人。
買わないのは何回も繰り返して読むタイプの作家さんじゃないからなんだけど
でも1時間当たり(?)のコストパフォーマンス(はらはらわくわく度?)は
もうぶっちぎりかもしれない。
(榎木津シリーズは除くw)

そしてこの本。
受験のため、東京に出てきて泊まっていたぼろいホテルで起こった火災。
間一髪で、時間旅行のできる男に助け出されたが
気がついたらそこは昭和11年。
受験生ではあるけれど、日本史、特に近代史なんて全く得意じゃない。
彼は、閉じ込められた蒲生邸の中で、昭和11年に触れる。
お手伝いさんが居て、身分の差があって。排水設備もない。
外に出れば、厳戒態勢の官憲が立っている。
とにかく何がなんだかわからないけれど
事件は蒲生邸の中でも起こっていた。
主人の自殺。そして、それに伴う家族内の確執。

最初はとにかく現代に帰りたかった孝史だったけど
タイムトラベラーの平田が一度失敗して意識を失ってしまってから
彼は、あの時代で孤軍奮闘することになる。
首を突っ込んでは怪しまれ・・・。

とにかく孝史はここで生活をしていかなければならない。
田舎から奉公に出てきた少年、として孝史は
とりあえず叔父(という設定にした)タイムトラベラー平田の
看病をする。
奉公しているふきという娘に孝史はひとめぼれをする。
彼の時代には有り得ないような清楚さ。清潔さ。

時代は戦争へとまっしぐら。
孝史は未来を知っている。だけどここで喋っても誰も信じてくれない。
平田が時間旅行に失敗し、一瞬だけ突っ込んでしまった昭和20年の2月。
そこには空襲にやられる蒲生邸。そして火にのまれて死んでいくふきの姿があった。
なんとかして時代を変えなければ。ふきを助けなければ・・・

なんだか家族の学歴コンプレックスの代表として
受験し、失敗し、浪人し・・・何がしたいのかよくわからないまま
ちょっと暗く、ぼーっとして生きてきた孝史。
それが変化していくのは、昭和11年という時代を知って
同じ日本人でも考え方や生き方が違うということ、
現代の贅沢さを知ったこと、そして恋をしたこと・・・。
多分、彼は彼の人生の中で、一番人と接して人と話しただろう。

もちろん時代の設定もおもしろい。
一番興味をひかれたのは、タイムトラベラーの設定だ。
1回のタイムトラベルには恐ろしいほどの体力を使う。
だから繰り返せば命が縮まってしまう、という設定。
その能力を持つ人間は、どことなく避けたくなる暗いオーラを背負っていて
友達すらできない、という設定。
そして、なぜ平田や平田の叔母はこの時代にやってきたのか。
歴史を変えるとはどういうことか・・・
いちいち「ほほーう」と納得してしまう。
この「タイムトラベルの能力を持つ人間」の設定が、物語を安っぽくしない。
いや・・・こんなんやったらそんな能力いらんわ・・・と本気で思うし。笑

で、物語の終わり方もかわいらしくてほんのり切なくていい。
不自然じゃないもんなぁ。
多分、これが一番なんだろうなぁ・・・という終わり方。
ふきさんも、よく覚えてたもんだ。
作家別「ま」行 | permalink | comments(6) | trackbacks(0)

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この記事に対するコメント

あっちこっちに書いてごめんね^^;
北京ヴァイオリンは見たかったのに見逃してたんだよね〜、とか、うたぎくちゃんのここは話題の宝庫でございまして。
で、先輩が薦めてたし蒲生邸を読みたいなと思ってたから、本を読んでからここも読も〜!と買いに行ったんだけど・・・なぜか、恩田陸の「ねじの回転」上下を買ってきてしまいましたとさ・・・。はじめてのおつかいにも負けてますよ〜。
同じ二・二六事件の話なのよね。わたし、昨年から恩田陸にゾッコンなもので・・・。それ読んだら次こそ蒲生読みます!
Sonny | 2007/02/10 10:20 PM
■sonnyちゃん

おおう。わたしは恩田陸を読んだことがないのよ・・・偏りすぎだわ。相変わらず。
同じ2・26事件なのね?
2・26事件って、「憂国」?
うたぎく | 2007/02/11 10:12 PM
ああっ無銭優雅も気になるんだよう。どうだった?
たしかに大味かもしれないある〜京香ちゃん。「悪女という存在はおおよそこんな感じ」という仕事ぶりなのかな。キムタク嫁は涙ぐむとイーネ!そして昨日のは都内の温泉で恩田陸読みながら長居してて見損なっちまった・・・温泉で二・二六。ううむ。
三島由紀夫ちゃん(こら)は「憂国」だねい。軍帽を目深にかぶると三割増しでストイックな男の色気が増しますな。
恩田陸の「ねじの回転」てやつを読んでるの。決して、イギリスの古い屋敷のお話ではないの。下巻を読み終わったら蒲生邸を買いに行きま〜す!
わたしも偏りすぎ。実は宮部みゆきをほぼ、読んだことなし!平成の世に住んでて読書好きを名乗る日本人とは思えない所業!いや、いつかは読むだろうと気楽に構えてたら何年も経ってまして。
Sonny | 2007/02/12 7:56 PM
■sonnyちゃん

無銭優雅、今読んでるところなのよ。
実は来週、サイン会に行くのだ。ふふん。
都内に温泉があるの??へえー。

>いや、いつかは読むだろうと気楽に構えてたら何年も経ってまして。

そうそうそうなのよねぇ。

>軍帽を目深にかぶると三割増しでストイックな男の色気が増しますな。

中学校の頃、一応帽子があったんだよねぇ。
誰もかぶってなかったけど。
今、帽子かぶる学生さんっていないんもんなぁ。
金持ち私立の小学生くらいか?

うたぎく | 2007/02/12 11:02 PM
風邪ぶりかえしてちょとご無沙汰してましたが。蒲生邸事件、読んだじょー!ちょうど昨日が二・二六事件の日だったのね。
初、宮部みゆき(週刊誌連載で、ゼプツェンていうのは途中まで読んでたんだけど、なかなか本にしてくれないな)面白かった!細部までほんとにまあ良くできてるねえええ。
ふきが、化粧っ気もないけど美しいこととかさもありなんと思うし、思いつめてたお嬢様(名前忘れた)が強い強いお母さまになっちゃうとかありそうーと思うし、

>この「タイムトラベルの能力を持つ人間」の設定が、物語を安っぽくしない。
いや・・・こんなんやったらそんな能力いらんわ・・・と本気で思うし。笑

うんうん、いらんいらん。ムチ打ちになりそうなほどうなずくよ私。

>で、物語の終わり方もかわいらしくてほんのり切なくていい。
うんうんうんうん

>不自然じゃないもんなぁ。
多分、これが一番なんだろうなぁ・・・という終わり方。
もう、同感・同感。ちょっと残念だったけど、でも、初恋?をもっとも美しい思い出としてとっておける感じもあって、涙ぐんでしまったよ。このラストのとこでね、むかーし読んだ早川ミステリ?の「ゲイルズバーグの春を愛す」というのを思い出した。これも良かったら読んでみてくださいな。

受験生の目線で書いたのもこの作品の勝因(?)かなと思う。現実離れした設定を、身近に引きつけられるからね。
同じ二・二六事件のタイムトラベルものの、恩田陸の「ねじの回転 上・下」 もいつか読んで比べてみてほしいな。
相変わらず恩田陸中毒で、本人を買い取りたいぐらい(危険思想!)はまっているSonnyでありました。
Sonny | 2007/02/27 11:02 PM
sonnyちゃん

会社で2・26事件の話になって
後輩の子が2・26事件知らなくって社内騒然となっておりました。笑
日本史必修じゃないんだもんなぁ。恐ろしい。

>>こんなんやったらそんな能力いらんわ・・・
>>と本気で思うし。笑
>うんうん、いらんいらん。ムチ打ちになり>そうなほどうなずくよ私。

だって「その事件」は防げても
別の事件で、相殺されちゃうんだもんなぁ。
そんなんあったら病んでしまうわ。

>でも、初恋?をもっとも美しい思い出とし>てとっておける感じもあって、涙ぐんでし>まったよ。

ね。お手紙書くってところがすごーくいいなぁと思ったよ。ふきさん、かわいいなぁ。

恩田陸、2・26事件でタイムトラベルなのね!
うたぎく | 2007/03/01 10:58 PM
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