地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
<< October 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | permalink | - | -
<< 「玲玲の電影日記」 | main | 花村萬月:自由に至る旅 >>

花村萬月:たびを

たびをたびを
花村 萬月

実業之日本社 2005-12

おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


スーパーカブを駆って日本一周をつづける、十九歳、浪人生のひと夏の物語。旅先での友情、憎悪、つかの間の恋…花村文学の旅立ち。


男の子っていいなぁああ!!
とまた全力で思わせる小説。
京極さんもびっくりな分厚いしかもハードカヴァだったため
通勤には持っていけず、休みの日にリュックにいれて持ち歩いて
腰痛復活・・・という本だったのですが。

とにかく!わたしは男の子を生んだら
買い与えるのはカブだけである!というくらい
こういうのに憧れる。
まぁこういうのに憧れるのは自由な時間を失った
社会人だからかもしれないけれど。

浪人生だった虹児は、高校の同級生だったモモと再会する。
あの頃、超かわいくて声すらかけにくかった彼女は
いつの間にかすれて、聞くと大学を辞めて風俗嬢になったという。
女子とも付き合ったことなく、当然童貞だった虹児は
口悪く罵りながらも虹児から離れないモモにどう接してよいのかわからないまま
振り回されていく。
だけど、虹児とモモ、ようやくひとつになったすぐ後に
モモはマンションから飛び降りてしまう。
モモの死後、虹児の元に届いたモモからの手紙。
そこにあったのはモモが虹児名義で作った通帳。
虹児がふと漏らした、バイクで旅をする人への憧れ。
「この金でバイク買って旅にでろ」そう背中を押された虹児は
日本一周の旅に出る。

東京から南下して、和歌山から四国に渡り、
そこから九州へ。
ぐるりと一周して、そこから西日本を北上して北海道へ向かう。
旅の途中で出会う人々。ライダーの世界。
東京から南下する最中に出会った男は
虹児の心に大きな傷をつけて去っていく。
四国で出会った女性は虹児の心をときめかせて
京都のアドレスを残して去っていく。
九州を一緒に回った男は、虹児の物の考え方に大きく影響を与えて
その日々はまるで人生学校のようだった。彼がホモであることを除けば。
やがて京都で、四国で出会った女性のところに転がり込んで
怠情な日々を過ごしたり、
わがままでブサイクな負け犬女子のような女性ライダーに振り回されたり
最初の頃は旅の先輩に色々教わっていたのに
九州から本州を走る頃には、いっぱしの旅の達人として
おどおどとした初心者ライダーを引き連れたり。
北海道では親友と呼べるような仲間と出会い、
北海道中を面白おかしく旅をする。

相変わらず、童貞が1回やったら突然もてるようになったりするんだけど笑
まぁそれを差し置いても、人との出会いと別れが面白い。
旅にもちょっと馴れて調子こいてた虹児にぶつけられる言葉。
負け犬女子のライダーや、北海道で出会った30過ぎの痛々しい男ライダーは
逆に虹児に出会って変わるし、虹児もそういう人たちを受け入れて生きていく。
こういう煙たがれるタイプの人って、
煙たがれたり馬鹿にされてるってことは気づいてるんだよね。
自分の何がそうさせるのかは気づかないけど(自分も含めね)
そういうのが猪熊や室岡、南野の姿を見て、あぁ、と思った。
でも彼らも根が素直なのは男子だからなのかなぁ。

もちろん、旅に出るからってすごい人になって帰ってくるわけではない。
見えないところで成長しているかもしれないけれど
東京に戻れば虹児はただの浪人生だ。
そして、彼が出会ったたくさんの人々も。
見知らぬ人間に出会って、好きも嫌いもごりごりと接しあって(日本語がおかしいが)
それが人としての幅を広げていくのかもしれないねぇ。
確かに、虹児が部屋にこもってツーリングの本読んでるだけでは
決して出会うことのない世界である。
つーか、まさに10代の手本のような時間の使い方である。
世間の高校生男子の課題図書にしたい。
昔、よくいた、チャリンコで日本一周小学生、とかって
こういう世界を見ていたのかなぁ。

10年くらい続いてしまった連載なので
最初と最後ではなんとなく文体や雰囲気が違うし
気がついたら世の中の流れと合ってない部分が多々あるんだけど
(ブルース好きな高校生っつーのも希少だし、最初の頃のケータイなしの生活は
 最後になるにつれてなんとなくとってつけたように出てきて違和感)
虹児が怠情な日々を過ごす京都のくだりなんかは
京都在住の民として、読んでて楽しかったでございますよ。
読んでるだけで、やたら物事に詳しくなった気もする不思議な本である。
花村萬月 | permalink | comments(4) | trackbacks(0)

スポンサーサイト

- | permalink | - | -

この記事に対するコメント

おひさしぶりです。
本屋でこの本にお会いしたときは
さすがに絶句した
クリアしたんですね…。
前・京都 | 2007/03/03 8:58 AM
でもね、思ったより重量はないのよ。
うたぎく | 2007/03/04 11:09 PM
なんか、一切読んでないから不明なんだけど、お二人のやりとり↑、呼吸が絶妙です。
Sonny | 2007/03/06 1:30 AM
そう?笑
うたぎく | 2007/03/06 9:47 PM
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://utagiku.jugem.cc/trackback/492
この記事に対するトラックバック
BlogPeople
■古本市場■