地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
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司馬遼太郎:空海の風景

空海の風景〈上〉 (中公文庫)空海の風景〈上〉 (中公文庫)
司馬 遼太郎

中央公論社 1994-03

おすすめ平均

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内容(「BOOK」データベースより)
平安の巨人空海の思想と生涯、その時代風景を照射して、日本が生んだ最初の人類普遍の天才の実像に迫る。構想十余年、著者積年のテーマに挑む司馬文学の記念碑的大作。昭和五十年度芸術院恩賜賞受賞。


海外留学には是非。
別に海外留学なんていまどき珍しくもないし、
「あ、語学留学してこっちで働きたいの?あぁ、あなたくらいの女性に多いよねプ」
などと言われても。
まさか鞄の中にこの本を入れて、気分は遣唐使とは思うまい。
(ん?遣唐使は、あちらの文化を学ぶのではなかったか?)

ただ、ホームを離れた場所でモノを学ぶという形に新しいも古いもなくて
それが海外といわなくても例えば、北海道や九州から上京したり、
県の少年キャンプで1週間、とかでも構わない。

もともとは官僚コースにいた空海は、仏門に興味を示して
その官僚学校を自主退学してしまう。
そこから、彼は行方をくらまし、
四国の山々やあちこちを一人で歩き回り、
寺を訪れては教本を写し、
とにかく、一人でオリジナルの修行を数年の間行い続ける。

もともと遣唐使になれる身分ではない。
子供の頃からの抜群の成績と、周到な根回しによって資金を集め
無事中国行きのチケットを手に入れる。
自力で中国語を身につけ(いいなぁ)、
三筆と称される達筆と、類まれな作歌の能力。
そして政治的な頭の回転の速さと、イヤミなくらいのプロデュース能力。
それが、今風に言うと「成功する留学」の条件だ。
しまった、わたし、何も持ってない(ノД`)・゚・
もう1年以上たってそんな初歩的なことに今気づいた。

それはさておき。

上巻の、唐に到着して帰国するまでのシーンがとてもいい。
自分の目的を達するために、ひたすら勉強。
そして、世界最大といわれた都を歩く日々。
シルクロードの入り口であった唐の都には
様々な人種が入り乱れている。
四国の田舎から、奈良の都に出て、
それでも平淡な顔の大和民族ばかりを見てきた人間にとって、
それだけでも大きな発見だっただろう。

その唐の都、長安で空海は心おきなく才能を発揮し
密教の第一人者恵空のいる青龍寺で修行をする。
この話も、自分に対する素敵な噂を流しまくって
恵果から「是非会いたい」といわせる念の入れよう。
そして周りには、空海がやってくる何年も前から修行する中国人の僧がいる。
だが、空海は半年で彼らの誰よりも早く、灌頂を受けたのだ。
このあたりのミラクル★ぷりは、
「あああ、天才になりたいー」と思わせてくれる。

後半はなんとなく焦点がぶれて
なぜ最澄と仲が悪くなったのか、という部分にたくさんのページが割かれている。
これを読むだけだと、おぼっちゃんだった最澄は、
決まりきったレールの上を歩んで、
ただ、自分の知識欲のためと、天台密教を完成させねばならなかったために
空海の持つ知識を必要とした。
けど、空海にとっては「これは自分が汗水たらして手にいれたもの。
そんなんやすやすと渡してたまるかいな。だいたい本読んだだけで悟りが開けるか?
違うやろ?」と思う。
それはそれでそうなんだけれど
だんだん最澄のことがかわいそうになってくる不思議。
最澄もやることなすことから周りというか、悪循環になっちゃって
身分は高いけど、仏教のみんなからは嫌われちゃって
それに比べて空海は・・・と思わなくはなかっただろう。

日本に戻ってきてからも、空海は様々なことに手を染めていたし
お坊さんが灌漑事業をした、っていう、故郷香川の灌漑事業についてなんて
まったく触れられてもいなかったし、
後半の本は、密教を軸にした天台宗VS真言宗というつくりになってしまったので
なんとなーく後味悪い気持ちになりました。
空海はものすごーく仏縁があって
彼が真言密教を日本に伝え広めるために、神様が味方したとしか思えないのだけど
その役割は最澄にも、他の坊さんにもあるはずで。

もちろん、空海は平安時代初期の人間で
彼に対する資料だってたくさんは残っていない。
空海のキャラ設定も、
なんとなく司馬さんの好みのキャラ(天才肌の人たらし)に作り上げられているし
果たして、この本に書かれていることのどこまでが本当かなんて
誰にもわからないのだけど。

それはともかく、他の仏教の入る余地もつっこみの余地もないほど、
緻密に作り上げられた空海の仏教世界というのを
覗いてみたい衝動に駆られるのでありました。
それが彼の自信の源だったのだから。
そして、それはまるできらきらとした極楽浄土に見えて
あの時代の人々を熱狂させたものだったに違いないのだから。

★おまけ★

2008.7.19 中国西安にある青龍寺に行ったお!

この路地を登れば。




普通の寺。




やっと発見




この青龍寺というのは、寂れてなくなってしまったのを
1980年ごろに発見、その遺構を再生中、ということで
寺、というかなんというか、という場所でありました。
仏像があるわけでもなく、
空海と恵果の像があるだけ。
(wikiやガイドブックに載ってる資料館の外観、
 あんなんじゃなかった気がするけどなぁ・・・)
見つけにくいところにあったので、1度目は発見できず
2日目に、その辺の食堂の姉ちゃんに
「青龍寺ってどこよ?」と尋ねると
「ここ一帯じゃないの」と答えられてしまう始末w

上海に戻ってから聞いたのだけど
ここって四国八十八箇所の0番札所なんですってね。
そんなこと「地球の歩き方」にも書いてなかったぞー。


★おまけ2★

西安の端っこにある、シルクロードの出発点。
とってつけたような塑像があるだけw

司馬遼太郎 | permalink | comments(4) | trackbacks(0)

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この記事に対するコメント

司馬さんの長編は結構読みましたが、この作品は知らなかった。
この人は調べたことは全部書こうとするのか中間で中弛みするところがあると思うのですが、そういったところがあるのかな。
「坂の上の雲」や「菜の花の沖」みたいな名作でもそうです。
反対に「いいところ」をわざと外したりする。「義経」なんかそうですよね。
面白そうですね、読んでみようと思います。
それから、★おまけ★のところも面白そう、機会があれば行ってみたいですね。
jun | 2008/08/13 10:11 PM
Junさん

この本は、小説というよりは随筆や散文に近い感じがします。
司馬さん好きでも挫折者が多いことで有名笑

こうだった、というよりも
こうあってほしい、的な匂いはしますね。
断定ができないし、かといって、想像で物語を作るのは躊躇してるような。

他の作品とはだいぶ毛色が違うので
挑戦してみてくださいー

★おまけ★の場所は、
うーん、「なにもないねぇ」みたいな場所でした。全体的に。
西安や洛陽は博物館がいいですよ。
うたぎく | 2008/08/14 11:10 AM
おひさしぶりです。

出た…。
これ、単行本が実家にあるけど、
一度も手をつけずに今に至る…。

ちなみに、高知の青龍寺には行ったお!
四国88ヶ所第36番。某横綱の母校が近くにある。
転勤族(まだ雪国) | 2008/08/20 10:34 PM
おひさしぶりです、まだ雪国?前と同じとこ?

手をつけてない?
じゃー、年末年始に読む本として。
でも副読本があったほうがいいかも。
マンガで読む空海、とか
マンガで読む最澄、とか。笑
わたし、じつはこれ3回くらい読んでるけど
まだすべては把握できてない笑

青龍寺…なんか聞き覚えがあるのはなぜなんだろう…
うたぎく | 2008/08/21 10:20 PM
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