地味な女子の読書とか映画とか。

現在、海外暮らしのため 不定期に更新しております。本が読みたい。
<< April 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | permalink | - | -
<< 「青いパパイヤの香り」 | main | 「奇跡のシンフォニー」 >>

「善き人のためのソナタ」

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD]善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD]
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク ガブリエル・ヤレド

アルバトロス 2007-08-03

おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


2007年アカデミー賞外国語映画賞を受賞したドラマ。84年、東ドイツの国家保安局のヴィースラー大尉は、劇作家・ドライマンとその恋人で舞台女優のクリスタが反体制的であるという証拠を掴むため監視を始めるが、次第に彼らの世界に魅入られ…。


JUGEMテーマ:映画


うわあああああんっ
いやぁ、本当に映画っていいもんですねぇ…(誰かの声でお願いします)

と、まぁひっさびさに思いました。
え?ヒマだからって映画ばっかり見てるんじゃないかって?
いや、映画ばっか見てるんですけど
でも終わりにむかって「うわああああああ」って思うのってそんなないじゃないですか。

まだ共産圏だった頃の東ドイツ。
とはいえ、そんなに昔のことではない。
ベルリンの壁が壊れたのはわたしが小学生のころで、
その頃って、世界中のあちこちでこうだったんだろうと思う。
近くの韓国だって、台湾だって、まだ表現の自由がそれほどなかった。

主人公の男はバリバリの調査官で、
大学での講義で普通に「尋問の仕方」なんて講義をやっている。
その対象となる人間だって、普通の人間だ。
ちょっと政府に対して「変だ」とか言った人間に対する、尋問の仕方。
どうやったら「友人」を裏切って密告させることができるか、とか。そういうもの。

そこにひとつの指令が下される。
芸術家である男の動きがあやしいから、スパイするように。

やがて、男は、彼の住み家に行き、当たり前のように盗聴器を仕掛ける。
それを偶然見てしまった隣に住む奥さんのことまで事前に調べ上げて
「奥さん、子どもは小さいんでしょう?今までどおりの生活を送りたかったら
 このことは黙っておくように」なんて、冷酷に。

とにかく、最初は、男はただひたすら冷酷に描かれる。
それから、やがて、男の人間らしさも少しずつ見えてくる。

男は、毎日、何時間も男の家の音を聞いている。
電話だけではなく、家のあちこちに仕掛けられた盗聴器は
家の中の会話、すべてを男の耳に届ける。
密談も、喧嘩も、セックスの様子も。

やがて、芸術家の恋人、有名な舞台女優に、男は恋をする。
そして男は、芸術家と女優の世界に引き込まれ…

少しづつ、男は二人の手助けを始める。
最初は、黙って女に会いに行き、
落ち込んでいる彼女に「ファンだから、頑張って」と声をかけるのに精いっぱい。
そして、男たちの密談を報告書に書かないようになり
密談がばれそうになったら、こっそり芸術家の家に忍びこみ、証拠を隠滅する。
もちろん、そんなこと、彼らは気付かない。
彼らは気付かれていないものだと思って、計画を遂行する。

やがてそんな男の行動が上に見つかってしまい、
男は、左遷。
国中の郵便物を開封し、中身を検閲する部署に回される。
(これもすごい仕事だけど、これまた地味な仕事でもある)

やがて、ベルリンの壁が崩壊して、自由な国となったドイツ。
芸術家は、男のかつての上司、いうなれば当時の敵に偶然出会う。
そしてあのころの話をする。
芸術家は尋ねる。
「あのころ、なんで僕は狙われなかったんですか?」
「狙われていたよ。君の部屋にはあのころの盗聴器がまだ残ってるはずだ」
芸術家は部屋に戻り、部屋のあちこちに仕掛けられていた盗聴器を発見する。
でも、何故?

彼は、当時の資料館(こういうのがあるってのがすごい国だと思う)に行き
自分の調書を発見する。
そこにあった調査官の名前とID番号。
彼はそれを頼りに調査官を訪ねていこうとするが
老いた彼の姿を見て、黙って引き返す。
そして芸術家は、自分の才能を使って、当時の彼に感謝のメッセージを送る。


老いた調査官は、毎日、あのおばあちゃんが使ってるようなカートを押しながら
お散歩や買い物に出かける。
そして、彼は本屋の前で立ち止まる。
あの頃、彼が密かに守っていていた、あの男の書いた本。
その本には…


うわああああああん(号泣)

これ、やばいよー、やばいよー。泣いちゃうよー。

もちろん、物語の中には恋もあるし、革命のため(?)動こうとする人たちのドラマもある。
だけどとにかくこの二人の友情ですよ。
お互い、顔も知ってる。調査官にとっては一時期は芸術家の24時間を全て知ってるほどだ。
だけど、顔を合わせたことはない。
話したこともない。
でも、最後の最後でこの二人の中でだけ、この二人にしかわからない、暗黙の友情がある。
最後のおじいちゃんになった調査官の笑顔が、すべてを物語っている。
なんていい映画なんだ。本当に。






ヒマにまかせて映画鑑賞(欧米) | permalink | comments(4) | -

スポンサーサイト

- | permalink | - | -

この記事に対するコメント

再びこんにちわ。

2人の関係を友情と
見るのは面白いですね。

自分は上手く言えないんですが
「人間らしさ」みたいなのかぁと。
ちぇこ | 2009/04/05 9:01 PM
ちぇこさん

こんにちは。

確かに、二人の男の生活は正反対で
そこに惹かれていく男の気持ちは
人間らしさ、なのかもしれませんね。
うたぎく | 2009/04/07 1:14 AM
 DVDで観て、ネット上をさまよってたらここに来ました。
 最後の本屋でのやりとり「ギフト包装しましょうか?」「いや、これは私のための本だ」なんかにもジーンとしてしまいましたが、なによりすごいのは、ヴィースラー大尉の心理描写です。
 国家に忠実に働いていた彼が、どうしてドライマン達を守ろうとしたのか。ヴィースラー大尉は、”鉄の男”とでもいえる様な無機質な人間ですが、その無言・無表情の演技が大変素晴らしいもので、彼の心理を強く語っています。
 久々にいい映画を観ました。ちなみに大尉を演じている方は実際に東独出身だそうですが、すでに亡くなられたようですね。演技が絶妙だっただけに残念。
| 2009/05/25 3:51 AM
長い間お返事できなくて申し訳ないです…。

ヴィースラー大尉の描写、
あの、でっかい娼婦を呼んだときに
「もう少しだけ、ここに居てくれないか?」って言うところも、少ししんみりしますよね。
大尉役の方、亡くなったんですか…。
確かに実際にはかなりお年を召された方だと思います。
最後のシーンは、あまりの老け方の自然さに驚いたので
ひょっとしたら、こっちが地だったのかもしれませんね。
うたぎく | 2009/11/28 9:34 PM
コメントする









BlogPeople
■古本市場■